2019年04月28日

【今週の風考計】4.28─AIやロボットを超える「余暇」の大切さ

10連休のゴールデンウイークが始まった。旅行、スポーツ、孫と遊ぶ、ボーッと充電もあろう。仕事を離れて自由に使える時間=余暇を楽しみたい。
だが休みをとれない人もたくさんいる。4月から施行された「働き方改革法」は、残業時間の罰則付き上限規制が導入されたとはいえ、働かせ放題につながる「残業代ゼロ制度」の導入など、長時間や過密労働の解消にはほど遠い。

そのうえ、急速に進化する「人口知能(AI)」やロボットの導入によって、「自分の仕事がAIなどで自動化され、失職するのではないか」─そんな危機感を覚えている人も増えている。あるシンクタンクのレポートでは、「今後20年以内に、労働人口全体の49%が人工知能(AI)やロボットに仕事を奪われる」という。

いかに対抗するか。まずロボットが持てないスキルを身につけることが、自分の仕事を守る鍵となる。ロボットは想定外の動きに対応できない。人間はチームワークよろしく、臨機応変に対処できる能力に優れている。異常な事態に直面しても状況を見極め、複数の仕事をこなしながら、協力して事態を解決する。
これは人間だけが持つ「社会性」にあるという。他人の感情を理解し、自分とは違う他人の視点から物事を観察し、状況に対処する能力に優れる。この社会性と柔軟な対応力を発揮すれば、ロボットにはできない仕事がこなせる。それには「しっかり余暇を楽しむこと」であると、欧米の科学者は指摘している。

余暇を楽しむという行為は、ロボットやAIにはできない。すでに多くの企業や組織は、社員の「燃え尽き症候群」を防ぎ、生産性を向上させるには、余暇が重要であるという認識を持ちつつある。私たちは余暇を楽しむことで、よりよい思考が生まれ、創造性のある仕事ができるようになる。
その「余暇」を、上からの押しつけでなく、みずからが望むときに有効に使えるよう、メーデーを前にして、「政労使」は真剣に考えてほしい。(2019/4/28)
posted by JCJ at 10:16 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする