2019年05月09日

《ワールドウォッチ》イラン 米を「テロ支援国家」と認定=伊藤力司

 トランプ米政権は4月8日、イランの軍事組織「革命防衛隊」をテロ組織に指定した。これを受けてイラン最高安全保障委員会は即日米国を「テロ支援国家」と認定し、中東地域を統括する米中央軍や関連組織を「テロ組織」に指定したと発表した。シリアの戦乱が収まったのに、米・イランの敵対関係激化で中東は新たな危機を迎えようとしている。
 革命防衛隊は1979年のイラン革命を主導した故ホメイニ師らイスラム聖職者による政権を守護するために創設された軍隊で、イラン正規軍とは別に陸海空軍12万5千人の兵力を持つ。シリアのアサド政権やアフガニスタンの反政府勢力タリバン、イエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシ派を積極的に支援してきた。
 トランプ政権は昨年5月、米欧など6か国がイランと結んだ核合意から一方的に離脱し、外国にイランとの石油取引を禁止するなどの厳しい対イラン制裁に踏み切った。しかしシリア内戦でイランとロシアが支援したアサド政権が勝ち残り、欧米が支援した反政府側が敗れた結果、イランは中東における勢力圏を大幅に拡大した。その結果、アメリカの友邦イスラエルはこれまで以上にイランの脅威を意識するようになった。トランプ大統領としては、盟友ネタニヤフ・イスラエル首相の危機を放置するわけにはいかない。イランの脅威を世界に呼びかけたわけだ。
 一方、イラン側では革命防衛隊幹部が「米軍に対して(過激派)『イスラム国』(IS)と同列に対処する」と警告。イランは射程2千キロの弾道ミサイルを持っているとして「米軍はイランから2千キロ離れる必要がある」と指摘、軍事力行使を辞さない構えを示した。
 またイラン最高安全保障委員会の声明は、米国の決定に対し「根拠がなく、地域の平和への脅威だ。明白な国際法違反だ」と非難。「テロ掃討を担う革命防衛隊は国民の尊敬を得ている」と強調、また「今回の決定がもたらす『危険な事態』の責任は米国にある」と訴えた。双方の言い分はともかく、緊張の絶えない中東はなまたしても危険の度を強めている。


 JCJ月間機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
posted by JCJ at 11:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする