レイプ疑惑事件で民事係争中の伊藤詩織さんと山口敬之・元ТBSワシントン支局長の訴訟で、被告山口氏側が1億3千万円の損害賠償と謝罪広告掲載などを求め、伊藤さんを反訴したことが明らかとなった。事件後、伊藤さんは様々なバッシングにさらされてきた。その中身はイギリスのBBCドキュメンタリー「日本の隠された恥」に余すところなく描かれた。反訴は明らかなスラップ訴訟。「恥を知れ」としか言いようがない。
事件発生は2015年春。伊藤さんは数日後に準強姦容疑で告訴。翌16年6月に逮捕状も出たが山口氏逮捕は中村格警視庁刑事部長(当時)の執行停止命令で見送られた。同年7月、東京地検が嫌疑不十分で不起訴処分。伊藤さんの検察審査会への不服申し立ても17年秋、不起訴相当とされた。
刑事裁判での真相解明の道を閉ざされた伊藤さんは「望まない性行為」への民事訴訟を提起。同年暮れから民事に舞台が移ったが、第1回口頭弁論以降は弁論準備で非公開が続く中、今年2月に山口氏側の反訴が提起された。この反訴を受け、4月、市民らが立ち上がり、伊藤さんを「支援する会」も発足。事件の全容解明に迫る取り組みが再び燃え上がろうとしている。
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号