日本弁護士連合会(日弁連)が主催した「日米地位協定を検証する〜ドイツ・イタリアと比較して〜」と題するシンポジウムが5月11日に弁護士会館2階講堂で開かれた。当日は定員280人の講堂に約400人が参加。日弁連は「こんなに大勢くるとは予想していなかた」とうれしい悲鳴を上げていた。
パネリストとして琉球新報の島袋良太記者や日弁連基地問題担当の福田護弁護士、沖縄弁護士会の松崎暁史弁護士らと共に沖縄県の池田竹州知事公室長も出席した。沖縄県は駐留米軍活動を対象としたドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス4カ国の地位協定などを調査した報告書を4月に発表した。各国の取材をした池田さんは報告書作成の中心メンバーだ。
欧州各国への調査動機について池田さんはこう語った。
「2016年末の名護市でのオスプレイ墜落事故に続き翌年10月には東村高江でヘリ不時着炎上事故が起きた。しかし、日米地位協定により米軍が現場を封鎖し、県の事故調査は阻まれた。当時の翁長雄志知時が『日本の米軍専用施設は沖縄に70%集中しているが、残る30%は本土にある。米軍機事故は日本全体の問題。外国はどう対応しているか調査したい』と言ったのがきっかけでした。2年前から調査を開始した」
日本では米軍が管制業務を行う空域があり、特に横田基地管制官が担当する横田空域は有名。新潟県から静岡県まで1都9県に及ぶ広大なエリアだ。欧州の事情はどうなっているのか。
「航空関係機関のヒアリング調査では、横田空域のような外国軍が占有する空域の存在は確認できませんでした」(池田さん)
池田さんによると、横田空域や沖縄周辺の20カ所に広がる米軍訓練空域の話を航空関係者にしたら「日本は本当に主権を回復しているのか」と驚いていたという。
しかも4カ国とも、駐留米軍の活動に対して国内法を適用している。国内法が適用されない日本とは雲泥の差だ。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号