2019年05月28日

【内政】日米地位協定改定で世論盛り上がる 全国知事会・地方議会が動く 国内法適用で「主権確立を」=吉田敏浩

 米軍優位の不平等な日米地位協定の問題が注目されている。地位協定は米軍に、基地の運営などに「必要なすべての措置をとれる」強力な排他的管理権を認めている。米軍機墜落事故でも米軍が現場を封鎖し、日本側は現場検証も事情聴取もできない。米軍は事故原因の究明は二の次で訓練飛行を再開し、日本政府は容認してばかりいる。

 基地周辺の住民による米軍機騒音訴訟で、騒音公害として違法性と損害賠償は認められるが、飛行差し止めは認められない。米軍の活動に日本政府の規制は及ばないため差し止めはできないと裁判所は判断する。米軍の活動に対し日本の行政権も司法権も及ばないのが実態だ。危険な低空飛行訓練も野放しである。

 米軍という外国軍隊により主権が侵害され、そして憲法で保障された人権も侵害されている。こうした現状に対し、昨年7月、各都道府県の知事からなる全国知事会は、初めて地位協定の抜本的見直しを求める提言を、全会一致で採択し、政府にも要請した。その「米軍基地負担に関する提言」では、地位協定は「国内法の適用や自治体の基地立入権がない」など、日本にとって主権の確立が「十分とは言えない現況」だと指摘した上で、こう求めている。

「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」

 米軍に対し必要な規制をかけて人権侵害などを防ぐためには、地位協定を抜本的に改定し、米軍への国内法の原則適用を明記する必要がある。しかし、政府は改定に後ろ向きだ。「運用の改善」と称する小手先の対応ばかりで、米軍の特権を見直そうとする姿勢はない。しかも、駐留外国軍隊には特別の取決めがない限り受入れ国の法令は適用されない、との見解を示す。

 しかし、駐留外国軍隊への国内法の原則適用は、実は国際的な常識である。沖縄県がドイツ、イタリア、ベルギー、イギリスに調査団を送り、日米地位協定と比較してまとめた「他国地位協定調査報告書(欧州編)」によると、各国では米軍に対し航空法や環境法令、騒音に関する法令など国内法を原則適用している。低空飛行訓練も高度、飛行時間、訓練区域などに規制をかけている。横田空域のような米軍が航空管制を一手に握る空域もない(8面参照)。基地の排他的管理権も認めず、受入れ国の軍や自治体などの当局者の立入り権も保障される。日本とは異なり、「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立、米軍の活動をコントロール」しているのだ。

 報告書は沖縄県のホームページに載っており、より広く知られてほしい。それは地位協定の抜本的改定に向けた世論の広がりにもつながるだろう。前述の全国知事会の提言を受けて、地方議会にも地位協定の改定などを求める意見書が出され、今年4月半ばの時点で、北海道・岩手など7つの道県議会と札幌市・長野市など122の市町村議会で決議された(「しんぶん赤旗」4月27日)。こうした取り組みの広がりも重要だ。
 ジャーナリズムが地位協定の問題点をさらに掘り下げ、米軍の特権を認める密約なども暴露し、改定の必要性を訴えることも望まれる。

吉田敏浩(ジャーナリスト・2017年「日米合同委員会の研究」でJCJ賞)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 18:53 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする