2019年06月08日

【月刊マスコミ評・新聞】 心に響く高村薫さんの朝日への投稿

 30年前とは雰囲気は大きく異なるが、改元騒ぎが続いた。とりわけテレビは改元一色となり、NHKの放送時間は4月29日から3日間で33時間という。安倍政権による改元の政治利用も目についた。

垂れ流される報道のなかで、朝日4月30日の作家・高村薫さん寄稿が心に響いた。この30年の歴史を振り返り、何よりも変わる意思と力をもった新しい日本人が求められると。

今から30年前、1989年はベルリンの壁崩壊、冷戦終結という、戦後史にとって節目の年であった。日本国内はバブル絶頂期であり、消費税3%がスタート。その後、バブルが崩壊して経済社会の混乱が続いた。日経4月30日社説も「未完の成熟国家だった」とし、人口減社会の到来など、日本が抱える試練への対応を求める。

ことし2019年も、揺れ動く時代の転換点になるのではないか。日本国憲法施行から72年の時を刻む。憲法記念日の読売社説は「もとより、憲法改正論議の中心は、9条である。一部に根強く残る自衛隊違憲論を払拭し、国の安全と国民の命を守る正当性を明確にする狙いは理解できる」。安倍政権の狙いを理解できると言うのだろうか。 

毎日社説は「今、憲法をめぐって手当てが必要なのは、9条の問題よりもむしろ、国会の著しい機能低下だろう。その最たるものは首相権力に対する統制力の乏しさだ」。

読売5月10日「憲法考」での馬場伸幸・日本維新の会幹事長の発言にも注目したい。改憲勢力が「3分の2を維持することは、我が党にとっても参院選のアピールポイントになる」。安倍政権の「別働隊」として、改憲勢力の一翼であると明言。安倍改憲に向けて、維新の援軍ぶりが際立つ。

地域政党の大阪維新の会は、脱法行為といえる大阪府・市「入れ替えダブル首長選」で圧勝し、府議・市議選も大きく議席を伸ばした。ノンフィクションライター松本創さんが本紙4月号に寄稿したように、広がり定着する「穏健」支持層など、大阪での維新政治は、その基盤を広げている。選挙後には、公明・自民が変質して、大阪「都」構想=大阪市潰しの住民投票が現実味を帯びてきた。

維新の動向は大阪だけでなく、安倍改憲など国政にも重大な影響をもたらす。注視したい。

山田明

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 12:15 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする