JCJは30歳以下の若者を沖縄に派遣し、自由なテーマで取材してもらう「沖縄特派員」を今春、始めた。前号に続き、北海道支部の公募で選ばれた北広島市の通訳、竹内章浩さん(写真)の報告を紹介する。
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「沖縄の人々は温かく、気候にも恵まれていた。東京では毎日電車に揺られ、勤務時間は6時間なのに、通勤時間を入れると計11時間。東京での生活は『真の』日本というものを味わっている気がします」
2月、沖縄で会ったブータンからの留学生アイリーン(仮名)は今、東京で「沖縄にとどまるべきだった」と後悔していた。2017年、ブータン政府が始めた「学び・稼ぐプログラム」。700人超が来日し、全国の日本語学校などに送り込まれた。アイリーンと友人二人は沖縄行きを指示された。
「日本へ行き、日本語を勉強すれば大学、大学院に進めるし、正規雇用先を見つけ月25万円稼ぐことも容易である」。3人は、来日前のオリエンテーションでこう聞かされたという。アイリーンはブータンの大学を卒業したが、国内なら初任給は7万円前後だ。
留学プログラムはブータン政府のお墨付きだが、業者が介在し、日本へのビザ申請や、日本語学校の学費などとして、約150万円を徴収する。3人はブータンの銀行から借りて、業者に払った。日本の知識がほとんど無く、高い給与ですぐ返済できるという言葉を鵜呑みにした。那覇の別の男性学生も、来日して1年が経つが、返済は借金の5%にも満たないと話した。
バイト先は、コンビニの店員、コンビニ向けの弁当製造工場、ホテルでの清掃、日本語ができる場合は居酒屋だ。バイトを2、3か所掛け持ちし、生活費と学費を稼ぐのがやっとで、肝心の日本語の勉強に費やす時間はほとんど無い。正規雇用や進学の道はますます遠のく。
「今は我々のビザも切れてしまった。業者はとりあえず我々の学生ビザを延長するために、東京の私立大学に入学するのが唯一の解決策と言っている。だれも彼らの言うことに従いたくはない。でも、おそらく彼らの言う通りだ」。その入学先が、行方不明学生で問題となっているあの東京福祉大学だった。
ある日本語学校元職員は、学生の囲い込みに問題がある、と言う。出稼ぎ目的の学生をかき集め、日本語学校から系列の専門学校、大学などに進学させ、稼ぐ。
沖縄でブータン留学生を取材したのは、北海道でも、あるブータン留学生から「約束と違う。だまされた」と聞いていたからだ。沖縄、東京、北海道――。各地で現在進行形のこれらの問題は、それほど世論の関心を呼んでいない。日本がグローバル化の流れに乗っていくのなら、日本に来てよかったと思われるような環境作りが急務だ。
竹内章浩
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号

