2019年07月07日

【支部リポート】 香川 出撃の空から遺書を投げた学徒 西日本放送「海は知っている」=刎田鉱造

5月12日に例会を持った。RNC・西日本放送が4月28日に放送した番組「海は知っている」〜詫間海軍航空隊〜をみる。昭和18年6月に水上機の実機訓練基地として設置された詫間海軍航空基地(香川県三豊郡詫間町)で20年4月から5月にかけて特攻戦死者57人を数える歴史を掘り起こした番組だ。地元出身の2人の大学生が特攻に出撃させられる。家族の思い、出撃の空から実家近くに遺書を投げ落としていった学徒兵の姿などを丁寧に描いて感動を呼ぶ。

 跡地は現在、化学会社や香川高専詫間校の敷地になっており、いまの若者たちの戦争してはいけないという声、語り継いでいくことの大切さの訴えで締めくくっている。

 出撃機はフロート付きの水上偵察機でとても体当たり攻撃に適した機体ではない。最後には機体がなくなって練習機までかり出したという。そういう機体で敵地に向かった若者たちの思いは実家の寺に残した長い遺書、本堂の端から端までの巻紙に毛筆でしたためたものににじみ出している。

 映像でコメントをしている証言者の大半は80代以上だ。もういましか実体験者の話を聞く機会はない。県内の戦争遺跡、体験を記録したものをライブラリー化する。足りないものを掘り起こすことを課題にして、力を注ぎたい。

刎田鉱造

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年6月25日号
posted by JCJ at 15:42 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする