2019年07月14日

【月刊マスコミ評・放送】 小川彩佳キャスターと筑紫イズム=三原治

テレビ朝日を4月に退社し、その2カ月後、TBS系報道番組『NEWS23』のメインキャスターに抜擢された小川彩佳キャスターのリニューアル版が6月3日スタートした。小川さんは2007年4月にテレビ朝日に入社して以降、『サンデープロジェクト』の司会、『報道ステーション』のサブキャスター、直近ではインターネットテレビ局「AbemaTV」のニュース番組『AbemaPrime』の司会進行を務めるなど、一貫して報道畑に携わってきた。特に看板番組『報道ステーション』を7年半経験し、将来の報道番組を背負っていく逸材に違いなかった。そんな未来あるキャスター移籍の話題が夜のニュース戦争に拍車をかけている。

夜11時台に放送されているニュース番組と女性キャスターは、NHK『ニュースきょう一日』は井上あさひ。日本テレビ『news zero』は元NHKでフリーの有働由美子。TBS『NEWS23』は小川彩佳。フジテレビ『Live News α』は三田友梨佳。テレビ東京の老舗番組『ワールドビジネスサテライト』は大江麻理子。夜10時のテレビ朝日『報道ステーション』は徳永有美といった顔ぶれである。平成から夜ニュースは女性キャスターの時代に入っていたが、令和となって小川キャスター参入で、夜のニュース戦争が激化してきた感がある。

 骨太なニュース番組は姿を消した。権力を監視する辛口なキャスターもいなくなった。報道のTBSを自負する『NEWS23』も筑紫哲也氏の頃の緊張感はなくなった。安倍内閣の下、益々右傾化する今こそ、筑紫氏のようなキャスターを必要としている。彼は、少数派の立場に立ち続け、沖縄への思い入れを持ち続け、護憲の立場を崩さなかった。世の中にはびこる権力や日本という国を踏みにじるような社会の趨勢に、常に「にこやかに」、硬直的でない抵抗のスタイルを貫いた。彼の剛健な気風は、どんな人が投げるどんな球でも受け取り続けた。

 『NEWS23』という冠を受け継ぐ小川キャスターにその精神や心構えは宿っているのだろうか。

 小川キャスターは、半年間のブランクを感じさせない番組さばきは見事。インタビューでは、自分なりの感性と言葉で伝えようとする姿勢が垣間見えた。ジャーナリストとしての資質を褒める評論家の指摘もある。

これまでメインキャスターを務めてきた星浩氏がアンカーとして小川キャスターを支える。スポーツは石井大裕アナウンサー、サブキャスターを山本恵里伽さん、取材キャスターを報道局の村瀬健介記者が務める。2週間視聴したが、期待は感じている。目先の視聴率で揺らぐことなく、信じる報道姿勢を貫いてほしい。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年7月25日号
posted by JCJ at 09:03 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする