2019年08月06日

安倍政権「生活破壊」 学者の会ら緊急アピール 暴走政治を阻止=古川英一

 6月下旬の夕方、東京神田の学士会館に、平和主義・立憲主義・民主主義を基本的な価値とする、学者や市民90人余りが集まった。集会は安保法制に反対するために4年前に設立された学者の会が、暴走する安倍政権への危機感から開いた。憲法や経済学などを研究する学者が次々に発言した。

愛敬浩二・名古屋大学教授は安倍自民党の憲法9条の改正案について「安倍首相は自衛隊を明記するだけで現状は変わらないと説明するが、その現状こそが問題だ。安全保障関連法ができて日本は戦争ができる国へと変わってしまった。9条を改正すれば米軍のグローバルな軍事展開に基地を貸すことを明確にすることになる」と述べ、安保法制を廃止し、ここまで変えられた国の在り方をそれ以前に戻すことを訴えた。

▽間宮陽介京都大学名誉教授は今の日本社会の「破壊」されている状況を列挙した。まず安倍政権が、立憲主義、憲法、そして教育や労働までをも暴走して破壊していること。さらにアベノミクスの失敗により経済が破壊されていること・・本来、経済の目的は国民一人ひとりの生活を向上していくものなのに、アベノミクスは経済成長のために一部の富裕層を優遇するものだと指摘。

大沢真理・東京大学名誉教授は、安倍政権の社会保障に対する考え方は「70歳まで働け、病気になるな、お上に頼るな」と、社会保障の強化どころかむしろ背を向けていると厳しく批判した。

 最後のアピールでは、「自らの蒙を開く研鑽の場としての大学は、未来を切り開くための『自由の砦』たりうるはずです」としたうえで、安倍政権の暴走をくいとめるために主権者としての行動を起こし、議会を動かしていこうと呼びかけた。

集会の中ではメディアの責任の重さを訴える声が上がった。市民が連帯していく仲立ちとなること、ジャーナリストとして私たちがやるべきことはこれからも続くのだ。

古川英一

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年7月25日号
posted by JCJ at 10:09 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする