拙著『マラス 暴力に支配される少年たち』(集英社文庫)や『マフィア国家』(岩波書店)に目を通し、彼らの現実が私たちとどうつながっているか、共に考えていただけるとうれしい。
さて経済のグローバル化が進むなか、格差や不平等は、一国・一地域での問題ではなく、国際的な「資本主義」のありよう、そのものに関わっている。今やこの事実は自明の理となった。その「資本主義」とは何か。京都大学経済研究所附属先端政策分析研究センター編『資本主義と倫理』(東洋経済)は、その問いを考えるのに、格好の本だ。
シンポジウムをまとめた本書は、「資本主義」を経済だけでなく、社会や教育など、多様な角度から解く。特に注目したいのは「資本主義の中核には倫理が存在する」という点だ。現代世界の大きな問題は、支配的な資本主義から倫理が失われていることだろう。
では、私たちはこの先どんな世界を築いていけばいいのか。同じく「資本主義」を軸に考えるには、伊藤誠『入門 資本主義経済』(平凡社新書)が役立つ。その最終章「資本主義はのりこえられるか」では、21世紀型社会主義の可能性が考察されている。
そこではベーシックインカム、私もスペインで取材している地域通貨、さらには労働者協同組合など、「社会的連帯経済」の取り組みが考察されている。これはメキシコや中米を含む、世界各地で進んでいる動きだ。
「労働力の商品化を廃止」し「働く人々の自由、平等、人権を主体的に実現する社会経済」を模索している。いま私たちは、こうした発想と取り組みが求められている。

