2019年09月07日

【支部リポート】 北九州 抗議行動やまぬ香港 暴力警察の蛮行を目撃=杉山正隆

 「逃亡犯条例」の改正案を契機に起きた香港政府に対する市民による抗議活動は、6月9日の大規模デモから2カ月が経った。8月10日、現地に取材に入った。目抜き通りネイザンロードでは、10日夜9時過ぎ、黒服を着た市民らに、デート帰りと思われるカップル、高齢の男女らと警察隊がにらみ合いを続けていた。突然、20歳代の女性ら数人を警察官が警棒で数十回、激しく殴りつけ押さえつけて手錠を掛けた。

 数千人の市民らは「釈放しろ、警察は恥を知れ」と大合唱。もみ合いの後、警察車両数台と加勢の警察官100人ほどが人波を押しのけて到着。激しいヤジを浴びながら「容疑者」が警察車両に乗せられ尖沙咀警察署に連行された。その後、抗議の声が止まず、警察官らは催涙ガスを発射。市民らは逃げ惑い、脱げた靴や買い物袋などが現場に散乱した。

 翌11日の午後6時半。世界的に有名な雑居ビルの「重慶大廈」(チョンキン・マンション)前のネイザンロードに黒服の男女らがゴミ箱数個を置いた。これをきっかけに、通行が妨げられ、大混乱に陥った。集まった市民は数千人に上り「自由な香港」を訴えたのに対し、警察官らは警告したものの催涙ガスを発射。20歳前後と思われる男女4人が後ろ手に縛られ道路に数十分間座らされ、警察署に連行された。通すよう抗議する日本人に「黙れ、香港から出て行け」と警棒を突き出し怒鳴る警察官も。引き上げる警察官に「こんなに手荒なことをされた。ひどいじゃないか」と腕の傷跡を見せながら詰め寄るお年寄りの姿も見られた。

市民の間で警察への怒りの声が広がっている。催涙ガス弾やゴム弾を市民に発射し、警棒で歯が折れても若者を殴る、地下鉄構内など閉ざされた空間での催涙ガスの発射など行き過ぎた対応に「暴力警察」のイメージが浸透している。

 香港国際空港には9日以降、1万人近い市民が集まり、到着旅客らに「迷惑を掛けてごめんなさい。でも、香港の現状を知って下さい。支援して下さい」などと訴えた。裁判所は中止を命令、中国政府は「テロ」と断じた。

 香港がこれからどうなるのか。これからも注目したいと考えている。

杉山正隆

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年8月25日号
posted by JCJ at 14:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする