第4次安倍再改造内閣が発足した9月11日、沖縄では、第3次嘉手納爆音差し止め訴訟の控訴審判決が福岡高裁那覇支部で言い渡された。夜間・早朝の米軍機の飛行差し止めという原告の切実な訴えは、一審同様認められず、騒音による健康被害については一審より後退、賠償額も減額された。第1次提訴から37年が経ち、高齢化した原告らの疲れが目立つ。
翌12日、辺野古新基地建設阻止の座り込みが続くゲート前行動には、嘉手納爆音訴訟原告団や裁判の応援に駆け付けた全国爆音訴訟団のメンバーらが多数参加し、今回の判決の不当性や、各地の状況を訴えた。嘉手納の原告は「基地がいったん造られたら、住民の権利を守ることはできない。
辺野古を嘉手納と同じような状況にしないために、新基地は絶対に造らせない!」と拳をあげた。
辺野古新基地建設をめぐっては現在、沖縄県が国を提訴した2つの訴訟(関与取り消し訴訟と抗告訴訟)と、私も含む辺野古・大浦湾沿岸住民16人が提訴した抗告訴訟が並行して進行中だ。いずれも、沖縄県が行った「埋め立て承認撤回」(昨年8月31日)を、行政不服審査法を使って取り消した国土交通大臣の裁決は違法だと訴えている。
住民の訴訟を支える辺野古弁護団は、これまでの判例等から、基地が造られてしまえば「第三者行為論(米軍基地の管理・運営権は米国が持っており、日本政府は関与できない)」で、住民がいくら被害を訴えても救済されないので、基地ができる前に止める緊急の必要性を主張している。
一方、沖縄島北部の本部港では17日、沖縄県や本部町の不使用要請を押し切って米軍が強行しようとした民間港使用を、港湾労働者と市民らが阻止した。伊江島での海兵隊パラシュート降下訓練の救助艇として使われる小型船を牽引する米軍トレーラーを、全港湾沖縄地方本部の組合員50人が港の入口でピケを張り、港内に入るのを阻止。駆けつけた本部町民、市民らも含め約200人が早朝から夕刻まで、炎天下10時間に及ぶ行動で米軍車両を追い返した。参加したある市民は「自分たちの職場を軍事利用させないという港湾労働者のたたかいに感動し、辺野古のたたかいに勇気をもらった」と語った。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号