2019年10月09日

【2019年度JCJ賞大賞挨拶】 「税を追う」キャンペーン東京新聞・鷲野史彦記者 米兵器購入で歪む防衛費 ローン苦と部品不足進む 

「税を追う」キャンペーンは2018年10月から始めた。初めにテーマを防衛費に絞ったのは、安倍政権のもとで防衛費が伸び、トランプ大統領からも米製兵器を買えという働きかけがあったからだ。

 最初に原稿にしたのは防衛費の「後年度負担」だ。兵器購入が増え、19年度の防衛予算は5兆円を超えている。実はそれに加え、後で払う5兆円の借金(後年度負担)があった。合わせて10兆円の出費だ。

それをどうわかりやすく伝えるか、家計に置き換えて考えた。年収に見合わない高級車を自動車ローンで買うようなものではないかと。そこから「兵器ローン」という言葉を私たちはつくり、後年度負担を説明した。ネットで反応がよく、国会でも取り上げられた。

米国が納入する武器部品に間違いが千とか2千とか、たくさんある。だが防衛省は文句を言ったことがない。これでいいのか、と怒った報告書を会計検査院が出していた。

なぜなのか、防衛省の当事者に記者が取材した。すると「昔、米国の国防総省に行ったところ、みな偉そうにしていて、電話にも全然出てくれないことがあった。米国にものを言っても仕方がないと、放っておいた」ということだった。こうしたエピソードを重視した。

自衛隊OBから実名で話を聞くことにもこだわった。そこで知ったのは飛行機の「共食い」だ。F15はスクランブル発進をする大事な戦闘機だが、1機のエンジンが故障すると、部品が足りなくなる。どう直すかというと、別のF15のエンジンを外して、付け替える。米製兵器をたくさん購入する中で、自衛隊にお金が不足していた。稼働率に関わる機密情報ながら、関係者が言わざるを得ないほど、予算の使い方に問題があることがわかった。

19年度防衛予算に絡み、国内企業に払う部品代が1兆円から2兆円不足するという情報も取材班に寄せられた。米国からFMS(対外有償軍事援助)での兵器調達が急増したためだ。国内企業への部品代金支払いは待ってもらうという話が進んでいた。スクープで報じ、この試みはつぶれた。年内をめどにキャンペーンを本にする。受賞を励みに取材を続けていきたい。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
posted by JCJ at 13:50 | JCJ賞情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする