2019年11月30日

【沖縄リポート】 首里城焼失 琉球の歴史を見直すとき

 この間の沖縄での最大の事件といえば、やはり首里城の焼失だろう。10月31日の朝、テレビ画面に映った、燃え盛り崩れていく首里城の姿は私自身大きな衝撃だった。

 しかしその後の「首里城再建フィーバー」とも言えるような現象には、いささか違和感を覚えている。首里城は「沖縄の象徴・誇り」「県民の心のよりどころ」と誰もが口を揃え、燃えたその日から「再建」に向けた動きが始まり、日毎に勢いを増した。玉城デニー知事は翌11月1日、早速上京して政府に再建への協力を要請。菅義偉官房長官は「全力で取り組む」と応じた。
 地元紙は連日、紙面の多くを割いて若者たちや県内各界の募金活動、県外からの支援など「再建美談」を報道し、NHKは「再建に向けて官民がどれだけ協力できるかが課題だ」と繰り返した。自民党県連は「国営公園である首里城を、管理者である県が焼失させたことをまず(国に)謝罪すべきだ」と主張した。

 31日、辺野古の座り込み現場でも首里城焼失が話題になったが、「首里城が燃えるのを見たとき、あ、これは(政府に)利用される!と真っ先に思った」「首里城は大切だが、辺野古の海はもっと大切だ。自然がなければ文化も生まれない」などの意見が拍手を浴びた。
 集客力のあった首里城の焼失は沖縄観光にとって大きな痛手であり、一日も早い再建を願うのはわかる。沖縄戦で焼失した首里城を並々ならぬ努力でようやく復元(1992年)した研究者・技術者・関係者の悔しさも当然だ。しかし、今必要なことは、やみくもに再建を急ぐのではなく、これを機に、琉球・沖縄の歴史を日本・中国との関係も含めて県民自らがあらためて検証し、問い直す作業と並行しながら、時間をかけて行うことではないか。

 11月2日の『琉球新報』論壇で、沖縄出身の若き大学院生・町田星羅さん(宇都宮大学で琉球諸語復興の研究をしている)は、首里城焼失を琉球諸語の未来と重ねながら次のように述べている。
 「もう一つの琉球文化を支える私たちの言葉は、……最後の灯を燃やしている。この火が消えてしまう前にできることがある。歴史をひもとき、次世代に何を残すのか。私たちは今、自分を見つめ直す時期にある」

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
 
posted by JCJ at 14:17 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする