2019年12月22日

【今週の風考計】12.22─伊藤詩織さん勝訴が問いかける重い内容

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、性的暴行を受けたとして元TBS記者・山口敬之氏を訴えた裁判で、18日、東京地裁は「酒を飲んで意識を失った伊藤氏に対し、合意のないまま性行為に及んだ」と認め、330万円の賠償を命じる画期的な判決を言い渡した。
地裁は、タクシー運転手やホテルドアマンの証言、そしてホテルの監視カメラの映像などを検証し、山口氏の「性行為には合意があった」とする主張を退け、「重要部分の陳述には不合理な変遷があるとし、合意のないまま本件行為に及んだ事実、意識を回復して性行為を拒絶したあとも体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実は認めることができる」と認定した。
さらに「伊藤氏は性犯罪の被害者を取り巻く法的・社会的状況の改善につながると考え、自身の体験を明らかにした」と述べ、その行動には公益を図る目的があったと認め、山口氏が名誉毀損を訴え1億3千万の賠償金を求めるスラップ訴訟も退けた。

だが、こともあろうに判決の翌日、加害者の山口氏は日本外国特派員協会で記者会見を開き、内外からの記者50人近くが出席した場で、即日控訴した理由について、「伊藤さんの発言はすべて嘘、本当の性犯罪被害者は会見で笑ったりしない」などのトンデモない発言を弄した。
会見の司会は花田紀凱・「月刊Hanada」編集長、同席者は弁護士に加え小川榮太郎氏。このメンバーは<安倍応援団>、伊藤さんバッシングを繰り広げてきた面々だ。
そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど、安倍首相と個人的に親しく、自分の結婚披露宴に安倍首相を招き、また2016年参院選挙の1か月前には、山口敬之『総理』(幻冬舎)を刊行してヨイショ!

許せないのは伊藤さんが、勇気をふるって告発すると、山口氏に同調するネトウヨたちが「あなたにも落ち度があったとか、ハニートラップとか、枕営業とか」などとバッシングし、セカンドレイプで二重三重に傷つけた行為である。この責任はどうとるのか。
 思いおこしてほしい。今から4年半前、当時TBSのワシントン支局長だった49歳の山口氏が、就職活動のアドバイスを求め訪問してきた26歳の伊藤さんを、酒に酔わせて強姦するなど、社会常識からみても許されることではない。
ネット上には、伊藤さんを擁護し、判決を支持する痛烈な書き込みがあふれている。
「性被害にあったら、暗く俯いて隅っこで暮らしとけ、とでも言いたいのか? じゃあ山口氏は、妻子がいる50代の男性なのに20代女性と性的な関係を持った人らしく、申し訳なさそうな顔していてくださいよ。妻子側から見たら、合意があろうがなかろうが、あなたのやったことは不貞行為で妻子に対する裏切りであることに間違いないでしょ」

さて伊藤さんは、この判決が出る前に、準強姦容疑で刑事告訴したにも関わらず、山口氏の逮捕状が取り消されたり、不起訴処分にされたりしている。その背景には、捜査への圧力があったのではないかという、疑惑は今なお消えない。
実際、「週刊新潮」が山口氏へ送った<伊藤問題>での質問メールに、山口氏が<北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。 伊藤の件です。取り急ぎ転送します。 山口敬之>と、誤送信を「週刊新潮」編集部にしている。
この「北村」とは誰か。山口氏は「弁護士だった父親の知人の北村さん」と釈明しているが、内閣情報調査室のトップだった北村滋内閣情報官(現・国家安全保障局長)ではないのか、彼に取材の対応を相談したのではないか、今や確実な筋書きだという。ああ、山口さん!(2019/12/22)

posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする