2019年12月29日

【ジャーナリスト講座】ワンテーマずっと追求 フリーランスライター・畠山さん=橋詰雅博

 「広報担当者から『あなたは誰ですか』と聞かれて、フリーランスライターと答えてもラチが明かないときは、『日本国民です』と言います。これキラー・フレーズ≠ナすよ」――フリーランスライターの畠山理仁さん(46)は大まじめにこう言った。 
 12月11日の「フリーランスの世界―その利点と難しさ」は、笑いと驚きが混じるちょっと愉快なJ講座だった。

勤め人経験ない
 講師の畠山さんは早稲田大学第一文学部在学中から雑誌などに原稿を書いてきた。勤め人の経験はなく、26年間もフリーでライター活動を続けている。 
 注力するテーマは政治家と選挙だ。とりわけ泡沫候補者≠精力的に取材。大手メディアから無視され、誰も関心を持たないからだ。勝ち目がなくても実現したい政策を訴えたくて出馬する泡沫を畠山さんは無頼系独立候補≠ニ呼ぶ。約20年間のその独自の戦いをまとめた著書「黙殺 報じられない無頼系独立候補≠スちの戦い」(集英社)は、2017年開高健ノンフィクション賞を受賞した。
 畠山さんはフリーランスの利点をこう挙げた。
・個人事業主だから上司も面倒な部下もいない
・毎日満員電車に乗らなくて済む
・嫌な仕事は断れる
・自分の興味や関心で仕事ができる
 畠山さんは「興味あるテーマを追い続けられるのが最大の利点」と言う。畠山さん場合、そのテーマは無頼系独立候補者だ。
「どの候補者もインパクトがあり、政治を真剣に考えている人が多い。よく『選挙に出れば』と言われるが、取材する方がはるかに面白い」(畠山さん)。

アルバイトも
 一方、不利な点は何か。
・会社の看板がない
・相手から信用されない
・潜在的無職
・お金のことが心配
 畠山さんは「やはり経済的に苦しい。ライターの仕事のほかに掃除や引っ越しの手伝い、エキストラなどのアルバイトもやっています。ノンフィクション賞の賞金300万円は借金の返済であっという間に消えてしまった」と話す。
 とはいえ落ち込んではいられない。
「後ろ向きの考えになったら精神的に参ってしまう。好きな仕事をやっていることを忘れないように心掛けています」(畠山さん)
 フリーランスの世界は厳しい。しかし、これと思ったテーマを長く深く取材ができる。

 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
posted by JCJ at 07:49 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする