2020年01月25日

【編集長EYE】安全性に疑義のゲノム編集食品うられる=橋詰雅博

 ゲノム編集した受精卵を用い双子を含む赤ちゃん3人を誕生させたことを公表した中国の研究者に対し、昨年暮れ広東省深圳市の裁判所は医学倫理の最低ラインを超えたと厳しく批判し、懲役3年と罰金3百万元(約4800万円)を言い渡した。ゲノム編集は、狙った遺伝子を自在に改変できる遺伝子操作の技術だ。発展途上国の爆発的な人口増による食糧難の解決策として期待がもてるとされる。農水畜産物の品種改良で利用が広がる。
 筑波大は、血圧上昇を抑えストレスを緩和する成分GABA(ギャバ)を数倍増やしたトマト、産業技術総合研究所は、生んだ卵にアレルギー物質が少ないニワトリ、大阪大や理化学研究所は、芽に含まれる天然毒素が極めて少ないジャガイモを開発した。京大は、肉の量が多いマッチョマダイ≠誕生させた。夢のバイオテクノロジーと評されるゆえんだ。
 とはいえ、ゲノム編集食品につきまとうのは安全性の問題。
昨年11月に都内で講演した 「食べものが劣化する日本」(食べもの通信社)の著者・安田節子さんはこう話した。
「米国コロンビア大学や米FDA(食品医薬品局)などの研究では、標的遺伝子を破壊・切断すると予期し得ない変異が起る恐れがあると指摘しています。つまりゲノム編集技術の安全性に疑義生じている。だからドイツやニュージーランドはゲノム編集食品を規制し、欧州連合(EU)司法裁判所も規制適用すべきと判断した」
 ところが安倍晋三首相は、ゲノム編集技術を成長戦略と位置付け大胆な政策を実行すると決めた。これを受けて厚生労働省は、昨年10月からゲノム編集食品について、国産も輸入品も届け出だけで販売できる新制度をスタートさせた。
 「新制度はゲノム編集などを使った遺伝子組み換え食品市場の拡大を狙うトランプ米大統領の意向にそったものです」(安田さん)
 疑念をはらせないゲノム編集食品。何らかの規制が必要だ。
 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号
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posted by JCJ at 14:19 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする