2020年01月30日

ズサン調査スクープから半年 陸上イージス配備計画見直しなるか 秋田魁記者・最新リポート

新屋演習場と住宅街.jpg
 地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を秋田市に配備する計画は、昨年6月に秋田魁新報が防衛省調査のずさんさをスクープして以降、大きく揺れ動き続けている。防衛省は配備候補地を「ゼロベース」で見直すとして再調査を実施中。住宅地に隣接した陸上自衛隊新屋演習場への配備計画が見直されるかどうかが今後の焦点だ。
官邸サイドが動く
 「『住宅地との距離も考慮して評価するよう防衛省に指示した』と、官房長官からそういう話を伺った」。昨年11月20日、首相官邸で菅義偉官房長官と面会した佐竹敬久秋田県知事は、直前のやりとりを報道陣にこう明かした。
 防衛省は、新屋演習場が配備に適しているかに関する調査のずさんさが秋田魁新報のスクープで明らかになって以降、「ゼロベースでの再調査」を掲げ、新屋演習場を含む青森、秋田、山形3県の国有地20カ所を対象に配備の適否を再検討する作業を進めている。そうした中で、省庁に大きな影響力を持つ菅氏が「住宅地との距離」を考慮要素に挙げた発言は大きな意味を持つ。住宅地に近い新屋演習場が大きなマイナスポイントを抱えることになるのは明らかであり、佐竹知事は5日後の会見で「初めてそういう具体的な発言が官房長官からあったということは、当然官邸サイドでも動いているということだと思う」と述べ、配備候補地見直しへの期待感をにじませた。
17議会が「反対」
 防衛省調査のずさんさが明らかになって以降、秋田では「反新屋」のムードが高まる一方だ。
 7月の参院選では、配備反対を訴えた野党統一候補の新人が、自民現職に勝利。8月には、秋田市を地盤とする冨樫博之衆院議員(秋田1区)が「新屋への配備はもう無理」という考えを防衛省に伝えたことを明らかにした。
 配備反対の請願や陳情を市町村議会が採択する動きも広がり、12月議会までに県内25市町村のうち17市町村の議会が採択した。
 昨年12月10日には、共同通信が「政府が新屋演習場への配備計画を見直す方向で検討に入った」とする記事を配信し、翌日付の秋田魁新報など全国の地方紙・ブロック紙が掲載。他の通信社や全国紙も同趣旨の報道で続いた。
「新屋」拒否は不変
自民、公明の県組織は新屋配備反対を公式には唱えていないが、12月20日には、自民党県連青年局が「人口密集地にあまりに近く、県民の不安が大きすぎる。適地であるとはとても言えない」とする意見をフェイスブックで公表するという動きもあった。
 こうした中、配備計画が浮上した当初は配備の是非についてあいまいな発言を繰り返していた佐竹知事や穂積志秋田市長の発言も様変わりした。「住宅地との近さが一番重要な視点。後戻りするかもしれないけれども、賢明な判断を求めたい」(10月21日の会見で佐竹知事)、「(新屋配備について)市民の理解を得るのは難しいと、河野太郎防衛相にはっきり伝える」(1月9日、秋田市新屋地区の新年会で穂積市長)。こうした発言は、住民の間でおおむね好感を持って受けいれられている。
 防衛省が行っている再調査の期限は3月20日。得られたデータを基に、3県20カ所の国有地を「ゼロベース」で見比べて配備候補地を決めるというのが、防衛省の示しているシナリオだ。
 再調査の結果、防衛省が再び新屋演習場への配備方針を打ち出したとしても、地元の理解を得られる可能性は限りなく低いのが、秋田県内の現状といえる。
松川敦志(秋田魁新報社編集委員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号

posted by JCJ at 14:30 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする