2020年02月20日

【沖縄リポート】 元少年兵が語る日本軍への怖さ=浦島悦子

 やんばる(沖縄島北部)の山々が緋寒桜のピンクに染まる2月1日、私は大宜味村の山間にある上原集落へと車を走らせた。
 75年前の沖縄戦時、15〜16歳のやんばるの少年たちが駆り出された「護郷隊」(遊撃隊)の元隊員で、同集落に住む瑞慶山良光さん(91歳)が、戦死した69人の戦友を偲んで自宅の裏山に植え育てた桜を「観る会」、及び、瑞慶山さんも出演するドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」(三上智恵・大矢英代共同監督、2018年公開。文化庁映画賞など8つの賞を受賞)の上映(上原公民館にて)などが行われた。
 翌2日には、瑞慶山さんら3人の元隊員とともに、第二護郷隊が配置された恩納岳の激戦地を巡るフィールドワークと「伝えたい第二護郷隊少年兵の体験」シンポジウム(進行:三上監督。恩納村博物館にて)が開催され、沖縄内外の100人余が参加した。
 スパイやゲリラを強要され、爆撃で友人の体が吹き飛び、病気で動けない友人が上官に処置(殺害)されるのを目前にした少年たちの体験はあまりにも壮絶かつ過酷だ。瑞慶山さんは帰郷して2〜3年後に戦争PTSDを発症(戦時と同じ精神状態で匍匐前進したり大声を上げて暴れる)、「兵隊幽霊」と呼ばれて自宅内の「牢屋」や精神病院に閉じ込められたという。今の穏やかな笑顔からは想像もつかないが、底なし沼のような心の闇を乗り越えてきた長い道のりがあったのだ。
 同じく元隊員の宮城清助さん(国頭村出身、92歳)は「自分たちは騙されていた。軍隊は住民を守らない。軍隊は軍隊しか守らないというのが戦争の教訓だ」と語った。
 三上監督は映画公開後、さらに取材を重ねて発行した新刊『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書。2月発行)の冒頭で次のように述べる。「軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ『秘密戦』が始まる」。彼女が映画や本で世に問うたのは、「陰惨な秘密戦」=「スパイリスト」による住民虐殺など、敵軍より怖い自国軍の実態だ。当時の日本軍は同様の戦争を全国で行う準備を進めていた。
宮古・八重山に自衛隊基地が次々に造られていくいま、「私が戦慄する危機(同著)」はやがて全国に及ぶだろう。その警鐘を聞いてほしい。
浦島悦子

posted by JCJ at 10:27 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする