2020年02月21日

【リレー時評】気候変動に鈍感きわまりない小泉環境相=中村梧郎

 パリの地球温暖化防止会議。「化石賞」は再び日本に来た。小泉進次郎の演説は「具体性のかけらもない」と嘲笑された。
 小泉大臣は1月末、ベトナムでの石炭火力発電に反対だと突然ブチあげた。CO2問題で世界が日本を批判するからと。
 だがその真相に驚く。三菱商事によるブンアン石炭火力発電所計画は日本が融資するが、建設は中国や米国の企業が担うから(ウマ味がない)というだけのことなのだ。
 ベトナムは、福島を教訓に日本の原発を拒んだ。ならば石炭火力発電がお得だと、三菱、丸紅、住友が5か所の建設計画を進めた。温暖化批判に応えるというのなら日本はその全てを撤回すべきなのだ。インドネシアへの輸出もやめるしかない。
 より容易なのは進次郎氏の地元、横須賀での石炭火力計画をまずは止めること。そのうえで国内13基の停止、25か所で進む計画の破棄だ。
 ベトナムは日本の原発予定地だったニントゥアンを、太陽光と風力発電のメッカに変えている。

 おりしも1月17日、広島高裁は伊方原発3号機の運転禁止を命じた。原子力規制委員会の判断は誤りと。判決は、瀬戸内の中央構造線や阿蘇噴火の危険想定が過小だとした。伊方3号機は1月末、電源ミスで冷却が43分間止まる重大事故を起こした。12日には制御棒1体が7時間も炉から抜かれていたりもした。
 伊方原発は愛媛県・佐多岬にある。事故は真夜中でも起こり得る。電気のない暗闇で5千余の岬の住民は逃げ場がない。高齢者や病人はどうなるのか。福島では強い放射能で自衛隊が出動を躊躇、双葉病院の患者50人が死亡した。伊方は廃炉にするしかないのだ。
 アメリカの規制委は住民の避難路が不十分、となれば稼働を禁止する。一方、日本の規制委は「それは自治体の責任。住民避難には関知しない」という。再稼働を認めるだけの規制委。‶寄生∴マだとの揶揄も囁かれる。
 今後30年以内に80%の確率で発生する南海トラフ地震。首都直下地震もある。まさに地震大国日本なのに、3・11の苦痛を教訓としない。
 昨年、大飯や玄海、川内原発の稼働が先送りされた。対テロ施設である送水ポンプが未完成だから、との理由だった。だがこれも子供だましだ。テロリストの兵器は今や無人攻撃機。米軍はアフガンなどでの殺戮をこれで続けた。イランのソレイマニ司令官殺害も無人機のロケット弾だ。
 無人機を量産輸出するのは中国である。SIPRIによれば中国は世界第二の武器輸出国。中国航空工業集団がその主役だ。テロリストが無人機を入手して原発を狙えば核爆発を誘発しうる。「送水ポンプで安全」というのはほぼ幻想である。
 核兵器と原発、CO2は地球環境を危機に曝している。だが小泉環境相は事態を無視したままパフォーマンスばかり。それ結婚だ、妊娠だ、育休だ、にはもうウンザリなのだ。
中村梧郎

posted by JCJ at 11:38 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする