2020年03月30日

露骨な妨害やめぬ外務省 原爆展や慰安婦問題に介入=橋詰雅博

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 新型コロナウイルス感染の大流行で4月下旬にニューヨークで開かれる予定だった核に絡む重要な2つの世界的イベントに影響が出た。核軍縮の大きな方向性を決める5年1度の核不拡散条約(NPT)の再検討会議が延期になった。この国連本部でのNPT再検討会議に合わせたNY初の原水爆禁止世界大会は中止に追い込まれた。
変更求める
 世界大会の呼びかけ団体の一つである日本原水禁被爆者団体協議会(日本被団協)は被爆者らの派遣を中止。さらに国連本部ロビーで行う予定だった約50枚の写真パネルを展示する「原爆展」も、開催時期の変更を含めて協議を進める方針である。
 しかし、忘れてはならないのはこの展示会を巡る外務省による横ヤリ″s為だ。日本被団協に対して写真パネルの一部を展示しないよう要請し、言うことをきかないなら後援はできないとブラフをかけたのである。
 外務省が目の敵にしたのは、東日本大震災で起きた原発事故の原因や、平和な生活を壊された多くの避難者の困窮ぶり、原発敷地内にたまり続ける汚染水の現状などを紹介した福島のパネルだ。その理由について「原子力の平和的な利用はNPTの柱になっており、原発について扱うのはふさわしくない」と説明した。
 これに対して日本被団協は5年前の原発展でも原発事故を扱ったが、外務省は変更を求めず後援した。今回、除外要求するのは「表現の自由を絶ち切る許し難いものだ」と批判した。その上で国連とは合意済みだから外務省の後援がなくても内容を変えずに展示会を開く構えだった。
 7月に東京五輪を控え外務省が官邸に忖度したのは間違いない。
 外務省の忖度はほかにもある。オーストリアのウィーンで昨年9月に開かれた芸術展「ジャパン・アンリミテッド」で展示されていた安倍政権や福島原発を批判的に扱った作品を2人の自民党国会議員がネットで問題視した。すぐに外務省は日本との国交150年記念事業にふさわしくないと認定を撤回した。芸術展のオーストリア学芸員は、日本で検閲≠ェ強まっていると断じた。
設置を阻止
 また、慰安婦問題の打ち消しになりふり構わず動いている。2019年度「外交青書」の中の「慰安婦問題の取組」ではこう書いている。
〈韓国のほか、米国、カナダ、オーストラリア、中国、フィリピン、ドイツ、台湾等でも慰安婦像の設置等の動きがある。日本政府としては、引き続き、様々な関係者にアプローチし、日本の立場(例えば、「軍や官憲による強制連行」、「性奴隷」といった主張については、史実とは認識していないこと)について説明する取組を続けていく〉
 外務省はドイツやフィリピンで慰安婦を題材にした平和の少女像などのメモリアル設置を阻止している。最近ではウガンダで起きた慰安婦歴史館計画を中断させている。
 5年ほど前、JCJ主催で慰安婦問題について講演した米モンタナ州立大准教授の山口智美さんは、外務省の露骨な妨害をこう語っていた。
「米大手教育出版社のマグロウヒルの教科書に『慰安婦を強制連行した』などの記述が載りました。外務省担当者は執筆者のハワイ大准教授に面談し、訂正を求めました。右派勢力と外務省が手を組んで慰安婦問題の否定に躍起です」
 外務省は安倍政権を下支えする走狗≠ノ成り下がっている。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号
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posted by JCJ at 11:10 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする