2020年04月20日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 日本と違いコロナ禍でも欧米は文化・芸術助成を実施

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 日本国憲法は「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある。国は、すべての生活部面について、社会保障および公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という条文がある(25条)。
  今日はこの条文の元、新型コロナウイルスと文化芸術にについて考えたい。政治家は全力を挙げてこの条文に沿った行動をしてほしい。今の日本の政権ではすべてが後手後手になっている。PCR検査を怠っている。緊急事態宣言は4月7日発令されたが4月16日に全国が対象に切り替えられた。
 京都では、芸術文化施設を全面閉鎖し(4/4)、市長が緊急事態を京都にも適用してほしいと国に要望した(4月10日)。100万人当たりの感染者数が全国都道府県で5位であるなど、感染拡大が続く。
軒並み閉館
 ところで健康で文化的な生活が今は不可能。私が通っていたスポーツジムも閉鎖された、「文化博物館」も閉鎖された。祇園祭特別展「町衆の情熱」で懸想(山鉾を飾る美術垂れ幕)が見られる、金具飾りが見られると、見に行ったが文博は閉鎖されていた。国立博物館も、新装のローム博物館(元府立博物館)もロームシアターも全部閉鎖されている。
 大量感染の元となったことから京都でもライブハウスは軒並み閉鎖、京都コンサートホールの演奏会にも中止だ。
祇園祭巡行中止
 例年7月1日から一か月間行われる祇園祭の鉾立て7/10、巡行7/17,7/24の是非が問われている。山鉾を立てれば人が集まる、山鉾巡行(写真)では引手が連なる、周囲約2.5キロに観客が密集する、とあって、現状では開催に見込みは立たない。巡行は中止することが決められた(4/20発表)、おそらく鉾立てもできないのではないか。
 平安時代初期863年(貞観5年)に当時蔓延した疫病(当時わらわやみ、おこりなどと言われたがマラリヤかと思われる)で多くの死者が出たことを悼み、悪霊を退散させるための行事が始まりだったといわれる。やがて豪華絢爛の伝統文化として1150年続いてきた、それが1151年目の今年、中止になるというのは歴史上の大きなアイロニーではないか。
30万人賛同
 ライブハウスの出演者が先頭に立って進めていた、文化助成を求める署名♯SaveOurSpaceがツイッターであっという間に賛同者30万人をこえたと聞いた。各種のライブ公演、音楽会、演劇文化公演から歌舞伎至るまで舞台が開けられない。博物館、映画館まで閉まった。
 映画、演劇の世界では、俳優、音楽家はもとより音響、照明などなど、フリーで働く人々も無収入になる。人々は音楽や演劇を楽しむ機会を失われている。休業資金を出し、歌手、アーティスト、文化関係施設に給付し、生活を保障して、コロナ明けに備えることが重要だ。
 休業したお店には200万円の補償をする。減収世帯に最低10万円〜60万円、などの給付がかろうじて決められたが、安倍首相はそれを全世帯10万円配布に切り替えた。申告すればの話だ。音楽、映画、ライブハウスなど文化関係への補償は話しすら出ていない。
 宮田亮平文化庁長官がメッセージを出した(3/28)だけで、文化、芸術の助成についてついての具体策は一切ない。
欧米最新事情
 ヨーロッパでは真っ先に音楽関係、映画、俳優、などへの手厚い保護策がとられたことを紹介したい。
 イギリスではすでに2000万ポンド(27億円)ガアート・カウンシルから支出されることが決まっており、その中には芸術文化関連フリーランス、一人当たり2500ポンド、34万円が支給される。いずれも面倒な手続きがなく、即時に振り込まれる。
 フランス文化省の緊急支援策は、音楽家、俳優、フリーの文化関連労働者などの収入の穴埋めに10億ユーロ(1200億円)を投じる。文化芸術関係の小規模組織、個人事業者に1500ユーロ〜3500ユーロ(18万円〜42万円)を支給した。封鎖期間中はこの手当を打ち切らず延長するという。
 イタリア政府では財政困難の中にも関わらす、舞台芸術、映画企業、芸術家、実演家、緊急基金1億3000万ユーロ(152億円)が支出された。文化関係従事者の所得補償もある。
 ドイツでは「アーティストは、生命維持に必要不可決な存在だ」と、モニカ・グリュッタース文化相が発言した。個人、自営業支援として500億ユーロ(6兆円)が用意された。そのうち休業補償の対象になるフリーランス、芸術家、演劇・音楽グループなどは140万人と見られる。
 アメリカではブロードウェイが閉まり、ジャズクラブ、レストラン、リンカンセンターも閉鎖だが、芸術団体、仕事のなくなった音楽家、オペラ歌手、ジャズ歌手など休業した文化関係者の休業補償にとりあえず500万ドル(5億3000万円)が用意された。
 アメリカの特徴は、大手IT企業、銀行など大手企業の支援があることだ。例えばナイキ財団とその幹部が即座に文化関係、アスリートなどに対し1500万ドル(16億円)を寄付した。
 コロナの中にあっても文化、芸術を保護し、終息すればすぐ再開できるようにとの配慮が必要だ。一日も早く、健康で文化的な生活にもどり、音楽を聞き、演劇を鑑賞し、映画を楽しみ、カラオケも歌える、山鉾巡行も楽しめる日常に戻ることを願うばかりだ。
隅井孝雄(ジャーナリスト)
 
posted by JCJ at 17:19 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする