◆沖縄は15日、1972年の本土復帰から48年を迎える。1945年の敗戦後、沖縄の人びとは戦争放棄を謳う9条など日本国憲法のある本土への復帰をめざし、「基地抜き、即時・無条件・全面返還」を掲げ、ねばり強い闘いを繰り広げてきた。
◆1967年頃になると、沖縄にある米軍基地はベトナム戦争への軍事支援に向けフル稼働に入った。核兵器すら迅速に輸送・使用できる態勢が敷かれたと言われる。沖縄の人びとは危険や恐怖と隣り合わせの生活を強いられていたのだ。
◆にもかかわらず日本政府は米国との交渉や駆け引きから、沖縄に米軍基地を残したままの返還でケリをつけてしまった。しかも沖縄の自己決定権は無視され、米軍基地の存続を担保にした復興計画が押し付けられた。沖縄の人びとの落胆は、如何ばかりであったろうか、想像に余りある。
◆それ以降、いまだに米軍基地は温存され、なんと在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中し、県面積の8%超を占める。加えて政府は、米軍普天間飛行場の辺野古への移設を強行し、沖縄県民の7割・43万人の「反対」を無視して、辺野古沿岸部の埋め立てを続けている。
裁判所までが、国の言い分を丸のみして辺野古移設を容認する。これほどまでに、地方自治の精神を踏みにじっていいのか。欧米では地方自治は基本的人権だとされるほど、重要な権利だという。
沖縄は国によって地方自治が奪われているのが現実だ。いや沖縄の主権そのものが、回復されたのだろうか。
◆10日ほど前の4月28日、この日は「主権回復の日」だという。今から7年前に安倍晋三内閣が定めた。1952年4月28日に米国との単独講和なる「サンフランシスコ講和条約」と「日米安保条約」が発効し、日本の主権が回復した日だからという。
トンデモナイ。沖縄や奄美、小笠原は日本から切り離され米国の支配下に置かれたのだ。とりわけ沖縄は、その翌年の1953年4月、「土地収用令」が発令され、伊佐浜や伊江島などで、銃剣とブルドーザーによる無法な土地拡張が行われた。これは沖縄の人びとの心の深い傷となり、この日を「屈辱の日」と名付けるのは当然ではないか。
沖縄には主権が回復されるどころか、踏みにじられ続けてきた、まさに<屈辱の戦後75年>がある。
◆コロナ感染拡大で緊急事態宣言が出されている最中の4月28日、自民党・稲田朋美幹事長代行らは、靖国神社に参拝した。稲田議員は、ツイッターで言う。
「主権回復記念日。平成18年から毎年<伝統と創造の会>で靖国参拝を続けてきました。今年はコロナの影響で<会>として参拝は中止しました。…その代わりコロナ収束を祈願」
コロナ収束を神頼みするのも驚くが、それ以上に沖縄の人びとの心など、眼中にない神経には呆れる。(2020/5/10)