2020年06月03日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 コロナと共存図る欧州 新しい社会実現できるか

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  5月4日安倍首相は緊急事態宣言を5月31日まで延期すると発表した。その後、21日には京都、大阪、兵庫の3府県を解除、続いて31日を待たず、北海道、千葉、埼玉、東京、神奈川でも解除基準を満たしているとして、25日に解除した。少人数イベント(お茶会、劇場、映画館、歌唱を伴わない演奏会、学習塾など)は5月延長時に認められていた。
諸外国から批判集中
 日本は、対応の遅れが目立つ。国際的にはPCR検査が極端に遅れているため、新型コロナウイルスの実態がつかめていないことが原因だというのが定説となっている。
 海外メディアは真っ向から日本政府の政策を批判している。「日本はPCRの検査の少なさい。日本のやり方は症状の軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」(英紙ガーディアン5/4)と指摘した。4/23に外務省が海外メディア向けに開いた記者会見では、「もっと多くの市中感染があるのではないか」などの質問が1時間にわたって続いた。また韓国の「ハンギョレ新聞」(4/30)も「日本政府は韓国の防疫の成功を無視し、軽んじている」と批判した。(朝日新聞5/8の記事より)。
欧州感染症と共存へ
 安倍首相が緊急事態宣言を延長した5月4日のその同じ日、イタリアで製造業や飲食店の持ち帰り営業が再開され、ローマの地下鉄にも通勤客が戻った。またドイツでも5月6日 メルケル首相がロックダウン(都市封鎖)を段階的に解除すると発表、全店舗の営業再開、し、博物館などの文化施設も再開について16の州との協議を始めた。サッカーリーグの再開を認められたことをファンは歓迎している。
 もちろん2次感染の危険はぬぐえないが、メルケル首相は再封鎖するかどうかを、16州に個別の判断に任せる意向だ。
 フランスのフィリップ首相は、5月11日強制外出禁止措置を終了するにあたって、「我々はウイルスと共に生きる道を学ばねばならない」と語った。イタリア首相も「イタリア経済を再開させる唯一の道はウイルスと共存することだ」と語った。歴史踏まえた発言だ。
個人情報に問題残る
 新型コロナウイルスとの戦いには終わりが見えない。感染の拡大に歯止めがかかりつつあるように見えるが、第2波、第3波が来るかもしれない。
 その備えとしてデジタル情報技術(ICT)が注目され、韓国、台湾、ドイツ、ベルギーなどで一定の成果を上げている。スマホなどの顔認証システムの活用によって、感染者の行動、移動、接触などの正確な情報を特定するのだが、市民の行動監視は歯止めがないと人権侵害を起こしかねない、という問題が付きまとう。
 韓国では2015年にMARS(中東呼吸器症候群)が大きな被害をもたらしたことを教訓にして、市民のデジタル情報が整備された。感染した人のケータイ情報、クレジットカードや交通カードの使用履歴、監視カメラの映像を政府、自治体が入手できる。もちろん氏名は匿名化しているのだが、人々の感染経路の把握が容易になり、PCR検査や、コロナ診断に生かし、早期終息に役立てることができた。
 ベルギーやドイツなどは今年の3月以降以降、政府が電話会社から匿名化された利用者の位置情報を提供され、行動規制の効果を上げるため活用した。データが匿名化されれば違憲ではないと政府は解釈しているが、感染が収束すればデータは破棄するという。 
立ち遅れるIT技術
 しかし、授業に取り入れられ、自宅でのテレワークが増え、有料映像サービスが普及、会議ソフトZOOMが珍重されるなど、家庭をベースにしたIT化が急速に進み、日本でも各種のデジタル企業が基幹産業の仲間入りをする時代がやって来るのではないか。コロナ後の社会の変化の一つを象徴していると思う。
 隅井孝雄(ジャーナリスト)
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posted by JCJ at 10:42 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする