2020年06月05日

【リレー時評】 近づく沖縄県議選 二つの大きな変化=米倉外昭

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 新聞編集の現場では全国各地の注目選挙をどう扱うかで悩む。結果にもよるが、それなりの扱いをと考えている。しかし、ゲラを見てため息をつくことが多い。投票率があまりにも低いからだ。
昨年8月の埼玉県知事選は4野党が支援した大野元裕氏が当選した。投票率はやや上向いたというが、32・31%だった。
 与野党相乗りの現職が当選した2月の京都市長選は、共産とれいわ新選組推薦の新人が善戦したことで注目されたが、投票率は40・71%。前回を5ポイント上回ったという。そして、コロナ禍のさなかの4月26日投開票の衆院静岡4区補選は34・10%だ。
  地方の選挙でも、国政の行方や全国世論に新しい潮流が生まれるかどうかを占えそうな場合は注目される。しかし、はっきりしているのは、都市部の選挙では有権者の過半数、ひどい場合は3分の2強が投票に行かないという事実だ。
 沖縄県議選(定数48)が5月29日告示、6月7日投開票で実施される。県知事選に次いで、沖縄の進路を決定づける重要選挙である。
 沖縄県議会は現在、辺野古新基地に反対する玉城デニー知事の与党が25議席で過半数を維持し、野党14、中立6、欠員2という状態である。
 今回、二つの大きな変化がある。自民党が辺野古新基地容認を明確に掲げる。これまでの知事選や国政選挙、昨年2月の県民投票で示された辺野古新基地反対の民意が、どう県議選に表れるのか注目だ。
 もう一つは、県議会で4議席を有する公明党が立候補予定の4人のうち2人の出馬を見送ったことである。コロナ禍の中で選挙運動はできないという理由だ。自民党が狙っていた与野党逆転が難しくなったことは間違いない。
 沖縄の公明党の選択は、県政奪還より命が大事というもの。安倍長期政権の下で改憲などを巡り自公のずれが目立ってきている。自公連立体制の行方に影響を与える動きかもしれない。
 沖縄県議選の投票率は近年、かろうじて50%台を維持している。これ以上下がってほしくない。投票率を上向かせることも、沖縄の民意を全国、世界に示すために重要だ。
 新聞はじめメディアは、民主主義の根幹をなす選挙の投票率向上を使命としてきた。今回も、若い世代にも関心を持ってもらえる紙面にしようと努力している。
 しかし、若者の新聞離れと選挙離れは連動しているようだ。沖縄県選管の抽出調査でも、若い世代ほど投票率が低く、20代は40%を切っている。
 そんな中、今回、深刻なコロナ禍の中で新聞が熱心に読まれている。また検察官定年延長に反対する世論が大きく盛り上がっていることにも希望を感じる。正確な情報を、批判精神を持って伝える健全なジャーナリズムが復権するチャンスにし、選挙の投票率向上にもつなげたいものである。
米倉外昭(JCJ沖縄世話人)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 11:15 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする