2020年06月14日

【今週の風考計】6.14─自民党の河井夫妻・立件へ、検察と官邸の攻防

▼疑惑まみれでも会見すらせず、イケしゃあしゃあと国会に現れる議員がいる。そう自民党の河井克行・前法相と妻の案里・参議院議員である。このご夫妻、広島選挙区の有権者に現金を配った公選法違反(買収)容疑で窮地に立たされている。検察は国会が17日に閉会するのを視野に、立件を目指しての捜査が大詰めの段階に入っている。
▼最大の疑惑は、河井夫妻側が自民党本部から提供された1億5千万円の使いみちである。案里氏の党支部が選挙運動費用として計上したのは2405万円。提供資金のうち、残る1億2千万円余りはどこにいったのか、まったく不明なのだ。
 しかも党本部が改選数2の広島選挙区で、党公認の現職である溝手顕正氏側に出した資金は、選挙対策費と公認料名目で計1500万円。ところが案里氏側に提供したのは、その10倍という、あまりにも公平さを欠く金額である。

▼検察は、河井夫妻が県内の地方議員や首長、後援会幹部や元陣営スタッフなど約100人に、1人当たり数万円〜百万円の幅で、2千数百万円もの現金を配ったのではないかとして、その裏付けを急ぎ疑惑の解明に全力を挙げている。
 1億5千万円の使い道として、他に挙げられているのが、選挙の公示前に大量に作った宣伝物だ。案里氏と菅義偉官房長官との対談を紹介するチラシ、案里氏の経歴を記したカードなどが作られている。
▼党本部が提供した資金の多くは、河井夫妻の党支部による政治活動の費用として、地盤固めや支援拡大に投じられたことになる。党本部から資金提供された分も含め、19年度の政治資金報告は、今年11月下旬に公開される見通しだが、どれだけ明朗・詳細に明かされるか疑わしい。
 そもそも政党の資金には、党費だけでなく税金による政党交付金が含まれている。今回、提供された1億5千万円の多くは政党交付金で占められたとされる。
▼夫の克行前法相は、妻の案里氏を参議院議員に当選させるため、ウグイス嬢への法定枠を倍する報酬を始め、影の参謀として全面的に指揮をとってきた。その安倍首相の補佐官まで務め法務大臣に就いた、お気に入り政治家が、もしも逮捕されるようなことがあれば、<安倍マネー>の捜査にまで波及するのではないか、それを恐れる官邸と検察の争いはし烈を極める。

▼安倍政権の検察官定年延長に絡む、まさに当人の黒川弘務検事長が賭けマージャンで辞職したものの、処罰の軽さに国民からの批判が高まるなか、河井夫妻への立件や逮捕状請求をめぐって、検察も弱腰での対応は許されない。稲田伸夫検事総長は7月末とされる退職を前に、毅然とした検察の権威を示さざるを得なくなっている。(2020/6/14)
posted by JCJ at 09:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする