2020年07月11日

【月刊マスコミ評・新聞】 拉致問題 取材しているのか=白垣詔男

 襟元で泣いてサビてる青リボン―6月9日付毎日1面「仲畑流万能川柳」の1句だ。
 横田滋さんが6月5日に亡くなり(享年87)、6日付朝刊のほとんど全紙が1面で報じ、9日の「万能川柳」に早くも、投稿が載った。
 新聞朝刊社説では7日に朝日、毎日、産経が取り上げ、読売も9日付で追い掛けた。全社説に共通していた主張は「日本政府には問題の解決へ向けた有効な方策を急ぐように強く求める」(朝日)と安倍政権の無策に対する不満を総体的に訴えている。
 なかでも「安倍首相の広報紙」とみられている産経が「安倍首相」の名前を出して「解決」への尻を叩いているのが印象的だ。「政府広報紙」が定着している読売も「政府は様々なルートを通じ、北朝鮮に首脳会談を働きかける必要がある」と具体的な提案をしている。
 ところで、「拉致問題」解決への日朝間の現状はどうなっているのか。全紙、触れていない。取材していないことを白状しているようなものではないか。
 北朝鮮との交渉は一義的には外務省で、それを後押ししているのが首相官邸とみるのが妥当だろう。しかし、その動きは全く見えない。かつて田中均外務審議官が身を挺して北朝鮮との交渉に当たったことは歴史的に知られている。しかし、その田中審議官に対するその後の政権の非情な対応は、「拉致問題」解決が大きく後退した原因になったことは報道に接する限りで国民は知った。
 現在、外務省には第2、第3の「田中均」氏はいないのか。それとも、マスコミが取材していないのか。新聞を読んでいるが、「拉致問題」報道がないのはどうした訳だろうか。取材していないのではないかと疑われても仕方がない。
 安倍首相はじめ左胸に「青リボン」バッジを付けている国会議員らは多く見かけるが、彼らはバッジを付けているだけで何の行動もしていないのだろう。何のための「青リボン」バッジか。正に「泣いてサビてる」ものを付けるだけでいいのか。
 新聞はじめマスコミは「拉致問題」解決に向けて「現状」を取材して政府の動きを報告してこそ、打開できる糸口になるのではないか。何もしなければ安倍政権と同じ「ポーズだけ」と言われても仕方がない。
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号
posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする