2020年07月16日

こじ開けた隠蔽の扉 NHK「かんぽ不正」報道 市民・メディア・野党協力=小滝一志

 5月22日、 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会は、NHKがそれまで一部非開していた経営委議事録について、「開示すべき」と答申した。「開示すべき」文書とは、「2018年度以降、NHK経営委員会が上田良一会長(当時)に『厳重注意』した議論の一切が判る資料」。審議委員会とは、NHKが情報公開規程・審議委員会規程に従って外部委員に委嘱した第三者機関。
毎日がスクープ
 問題が明るみに出たのは昨年9月26日の毎日新聞スクープ。NHK経営委員会が「かんぽ不正」問題をとりあげた「クローズアップ現代+」をめぐり、上田会長に「厳重注意」していた事実を隠蔽し、議事録にも記載しなかった。
 毎日の報道を受けて、各地の市民団体が経営委員会に抗議、石原委員長(当時)の辞任を要求した。国会でも野党合同ヒアリングなどで、議事録や配布された資料の提出を要求した。
 追い詰められた経営委は「議事録は作らなかった」との態度を一転して昨年10月13日「議事経過」を公表、会長に「厳重注意」した事実は認めたが議事録全面開示は拒んだ。
 今年3月2日、毎日新聞が再びスクープ。経営委員会で複数の委員が放送法32条に反し、番組内容に踏み込んだ議論をしていた詳細が明らかになった。しかも12月に経営委員長に選任された森下俊三氏が議論を主導していた。市民団体は議事録公開を要求、24市民団体が共同して森下辞任要求署名を展開、短期間で7,289筆に達した。NHK予算を審議する衆参総務委員会でも、野党議員から議事録公開を求められた。
「議事概要」公表
 メディア・市民・野党の追及に抗しきれず、NHK経営委員会は3月24日、郵政との対応の経緯を「議事概要」として公表、5月12日には、非公開だった「経営委員会議事運営規則」の公開にも踏み切った。
 しかし、6月10日の経営委員会は審議委の「公開すべき」との答申にもかかわらず「議論を継続中」と相変わらず煮え切らない態度だ。11日には、前田現NHK会長まで、「(審議委答申を)尊重してほしい」と言い出した。メディアと市民・野党が一歩一歩NHK経営委員会を追い込んできたが、議事録全面公開まであと一押しである。
小滝一志
posted by JCJ at 01:00 | NHK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする