2020年07月30日

【月刊マスコミ評・出版】 安倍+「電通」支配から抜け出せ=荒屋敷 宏

 コロナ禍の陰に隠されていた問題を週刊誌が取り上げ始めた。
 「週刊文春」7月23日号、相澤冬樹さんの寄稿「森友自殺職員妻に安倍昭恵夫人が『人を信じられない』 赤木雅子さんのLINEに返信が!」に注目した。
 公文書の改ざんを命じられ、自殺した赤木俊夫さんの妻、雅子さんは、森友学園8億円値引き問題のきっかけを作った安倍首相の夫人と連絡を取りたいと願っていたという。相澤氏から首相夫人の携帯電話番号を教えてもらい、雅子さんが首相夫人にLINEを送ると、「色々なことが重なり人を信じられなくなるのは悲しいことですがご理解ください」「いつかお線香あげに伺わせてください」と返事があったという。
 ところが、「本当のことを話して」と書くと、首相夫人から返事は来なくなったそうだ。赤木雅子さんの「法廷発言全文」にある「真面目に働いていた職場で何があったのか、何をさせられたのか私は知りたいと思います」との言葉は、日本の労働環境の現状を撃つ言葉となっている。
 高橋まつりさん=2015年当時24歳=を過労自殺に追い込み、「持続化給付金」委託「中抜き」で世間から糾弾されている巨大広告企業の電通を批判する記事が少ない。そう感じていたところ、「サンデー毎日」7月26日号の連載「令和風景論」第5回で田中康夫さんが「『電通』化する日本 巨大広告代理店はなぜ迷走したか」を書いている。
 小説「なんとなく、クリスタル」で作家デビューし、いわゆる「電通文学」の申し子のような田中さんが、友人関係にある山本敏博電通グループ社長に物申しているところが痛快だ。田中さんは、電通が海外でM&A(合併・買収)を繰り返し、国内約130社、海外約900社で構成(今年1月1日現在)され、57%の収益を海外に依拠することを指摘している。そのうえで、日本の産業構造、労働環境の縮図となっている電通が「結果責任」とは無縁の事業を展開し、経産省の「令和ビジネスモデル」の錬金術に加担していることを批判している。「結果責任」に向き合わない安倍首相を連想させる論旨である。
 田中さんが鋭いのは、メディアの側も過労死に直面する労働環境にあることを見抜いている点だ。いわく「睡眠3時間で3日連続没頭するCMやドラマの撮影・編集、新聞や雑誌の降版・校了、プレゼン準備や広告物デザイン等々、日付変更線超えは日常茶飯事」と。電通を批判できるメディアになる必要がある。 
荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号

posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする