2020年08月13日

【焦点】 『文春オンライン』月間4億超PV その秘密を編集長が語った=橋詰雅博

 一般社団法人「電子出版制作・流通協議会」(電流協)が実施している「第3回電流協アワード2020年受賞者が語る」が8月7日、オンライン中継された。デジタル展開に積極的だったとして特別賞に選ばれたのが『文春オンライン』だ。初代編集長・竹田直弘さん(47)は「3年前の2017年に始まった最初の月は600万PVでした。いまでは4億PVを超える月もあります。出版社のニュースサイトではナンバー1です。ライバルと目されている『東洋経済オンライン』は2億PVですから、だいぶ引き離している」と胸を張った。
  竹田さんは、3年間で月間PVを飛躍的に伸ばした主な理由を3つ挙げた。
 一つめは自社の媒体を有効活用することだ。
「とかく編集者はウエブ上で新しいことをやる場合、新しい何かをしなければと意識しすぎてしまう。僕も最初はそうでしたが、それをあらため伝統がある『週刊文春』や『月刊文藝春秋』で力のあるいい記事を有効に活用すれば活路が開けると考えました。当初は、それらの記事を宣伝するつもりで『文春オンライン』に載せましたが、オンラインのPVが大きく上がったことで、雑誌の売り上げアップにも貢献できたと思います。今は発売前日の水曜日に『週刊文春』のスクープを含め強力な記事3本を要約して載せています」
 二つめがPVという数字に真剣に向き合うこと。
「いいものをつくれば利益につながるという編集者特有の固定観念を捨てました。目の前のPVの数字をいかにあげるかに集中した。そのためデジタル向けに見出しや記事を変えるなどをしている。変えるに当たっては、担当編集者を尊重しながら社内調整しています」
 三つめは何かを決める重要な会議は全員参加が原則だ。
「編集者もそうでない人も出席します。編集者以外の人が記事に口出すのはOKです。社内でこういうやり方の会議をしているところはなかなかないですよ」
 こうして月間PVを3億とか4億に伸ばし、それに伴い広告量が増大、その結果、大きな利益をあげている。
橋詰雅博
 
posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする