2020年08月21日

【支部リポート】 香川 懸念つづくゲーム条例 陳情2件 提訴の動きも=刎田鉱造

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 「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が4月1日から施行されています。条例には家庭に「子どものゲームは一日60分」をルールにして守ることを保護者の責務と明記されています。県議会審議中から子どもの権利を侵害している、家庭に自己責任を押しつけている、など懸念の声や行動が続いています。
 条例施行後開かれた香川県議会6月定例会(7月13日閉会)ではネット・ゲーム依存症対策条例の「制定過程の問題点の洗い出し」を求める陳情2件が出されましたが、不採択となりました。
 香川県弁護士会(徳田陽一会長)は会長声明を発表(5月25日)して「条例の廃止、特に本条例18条2項については即時削除」を求めました=写真=。声明はゲーム時間の目安を決めた18条は憲法が保障する自己決定権を侵害する恐れがある、さらに遊ぶ権利を定めた子ども権利条約の趣旨に反する、などと訴えています。
 また、高松市内の高校生、渉(わたる)さん=17、名字非公表=は県を相手に違憲訴訟を起こすことにしています。撤回を求める訴訟費用をクラウドファウンディングで募集、すでに目標額を集めて秋口には条例撤回を求める提訴を進める模様です。
 もう一つ大きな問題になっているのが制定前に県議会が実施したパブリックコメントです。寄せられた2686件の意見のうち8割ほどが賛成意見ですが、なんと同じ文面が多数あり、同じパソコンからの発信が多いなどおかしなことだらけ。京都市の市民団体「パブリックコメント普及協会」が検証を求める意見書を提出しています。
 疑問渦巻くパブコメですが「行政が私的なことに介入すべきでない」という反対意見が400件あったことは注目してよいと思います。
 県議会では共産党の秋山時貞県議が市民の声をよく聞いた論戦を展開しました。採決は賛成22(自民党県政会、公明党、無所属)反対10(日本共産党、自民党議員会)。棄権(退席)8(リベラル香川)でした。
 同様のゲーム条例を計画していた秋田県大館市では香川の動向を注目して作業をストップするなど影響は広がっています。
刎田鉱造
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする