2020年09月03日

【東海支部通信】 河村名古屋市長に8億円返還求める住民訴訟 11月5日に判決=加藤 剛 

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名古屋市の河村たかし市長はこのところコロナ警戒で「多忙」の日々ですが、一方では市長本人が被告となる民事訴訟を3つも抱えて司法面でもその動向が注目されています。
 市長が被告の3訴訟とは@市民グループが原告の8億円住民訴訟、Aオンブズマン提訴の情報公開訴訟、B大村愛知県知事提訴のトリエンナーレ分担金訴訟です。そのうちの一つ「違法な支出8億円余の返還を求める」住民訴訟が8月6日名古屋地方裁判所で結審となり、11月5日に判決が言い渡される運びとなりました。
 名古屋市の河村市長は戦災復興の象徴である名古屋城(写真=大阪城や熊本城と同様の燃えない鉄筋コンクリート造り)を壊して、空襲で燃える前の木造の城に作り替える「木造復元」(工事費500億円余)を目指し、まず基本設計費(段ボール50箱に詰まった設計図書の代金)として8億円余を工務店に支払いました。これに対し「戦災復興の象徴である名古屋城を壊すな! 耐震補強して文化財登録をめざす会」(代表=北区在住の森晃氏)の市民らが立ち上がり、8億円余の支払いに待ったをかけたのです。
 市民グループは「基本設計・段ボール50箱分の中身は市民に公開されておらず(城の設計図などは公開を求めても黒塗り秘蜜)、しぶしぶ公開された目録には有るべきものが無い(合法建築の許可を得るために準備することになっている関係資料の項目がない) ―― など「不完全」「未完成」であると指摘し、未完成の箱詰め書類に市民の金8億円余を支出するのは違法(地方自治法違反)である」と主張、河村市長ら関係職員に対し「8億円余を市へ返せ。木造‛復元’事業を停止せよ」と請求する住民訴訟を起こしました。被告側は「却下」を主張。
 この訴訟は一見8億円余の支出の是非を争う「お金の裁判」に見えますが、一皮むけば戦災復興の象徴・名古屋城の解体の是非、市長の目指す木造復元の非実現性(再三の計画延期、絵にかいた餅=火災に弱く人命救助に難点のある違法建築の可能性大)にもつながり、場合によっては河村市長だけでなく、予算を認めた市議会の責任も問われる大きな問題に発展する可能性があります。
加藤 剛
posted by JCJ at 01:00 | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする