2020年09月09日

【月刊マスコミ評・新聞】 いままた大阪市廃止の住民投票?=山田 明

  広島、長崎は被爆から75年を迎えた。戦争と平和に思いを寄せる8月だが、今年は新型コロナによる感染症が列島に暗い影を落とす。
 5月下旬の緊急事態宣言解除後に、感染者はいったん減少したが、7月に入り再拡大してきた。第一波以上の感染規模であり、医療崩壊も懸念される事態だ。医療関係者から、PCR検査拡大を求める声が上がるが、政府の対応は鈍い。毎日7月29日コロナ特集は、「思惑交錯PCR滞る 遅れた国内検査数拡大」と真相に迫る。
 危機的な状況が続き、野党は国会開会を強く要求する。朝日8月1日社説も、「安倍首相は速やかに臨時国会を開き、率先して国民への説明責任を果たすべきだ」と述べる。だが、政府与党は応じようとせず、「安倍首相隠し」に走る始末だ。
 政府は感染急拡大の中で、「GOTO トラベル」を推進するなど、コロナ感染再拡大に対し、ちぐはぐな対応が際立つ。東京・大阪・愛知など大都市だけでなく、地方でも感染が急増している。沖縄の危機的状況は「GOTOトラベル」による感染拡大の可能性が高い。政治の責任が厳しく問われる。
 安倍政権のコロナ対応に批判が集まるなか、自治体の動向に関心が集まる。なかでも大阪府の吉村洋文知事を、メディアが持ち上げてきた。最近では「イソジン発言」の勇み足に、話題が集中することになる。
 大阪府の独自基準「大阪モデル」で非常事態を示す赤信号が、感染者急増でも点灯しない状況が続いている。経済重視にかじを切り、基準を緩和したことによるが、大阪市廃止の是非を問う住民投票実施との関わりも指摘されている。大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は「大阪モデルが赤信号にならない限り住民投票だ」と公言している。
 大阪市を廃止して、特別区を設置する構想は、5年前の住民投票で否決された。その後の選挙で維新が議席の伸ばす中で、再び住民投票が現実味を帯びてきた。ただし、コロナ危機のもとで、
住民投票よりも、コロナ対策を求める市民の声が高まっている。
 歴史ある政令指定都市、大阪市廃止の是非を問う住民投票である。関連法律は住民に分かりやすい説明を求めている。毎日7月25日社説も「判断材料が十分ではない」と指摘する。
 コロナだけでなく、住民投票に焦りは禁物だ。  
山田 明
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号

posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする