【JCJ大賞】 <安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道> しんぶん赤旗日曜版
しんぶん赤旗日曜版は2019年10月13日号で、桜を見る会に首相の地元山口の数百人の後援会員を大量招待していた事実をスクープした。参加者の証言をもとに、安倍事務所が取り仕切り、高級ホテルで開いた前夜祭に山口の参加者を招待、税金でもてなした疑惑を告発。政権与党にも招待数を割り当てていた実態を明らかにした。この記事を契機に田村智子参院議員が国会で追及し、「桜」疑惑が一気に国政の重大課題に浮上。地道な調査報道を重ね、安倍政権の本性を明るみにしたスクープは国政、メディアに大きなインパクトを与えた。
【JCJ賞】
●三上智恵 『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)
終戦末期の沖縄、中野学校出身者の指揮のもと、二つの「護郷隊」が諜報、防諜、宣伝、謀略の秘密戦を戦った。著者は映画「沖縄スパイ戦史」完成後も徹底取材を継続敢行した。少年ゲリラ兵、その隊長たち、全国で準備された住民による遊撃戦、地上戦の恐怖、虐殺者たち、軍の「戦争マニュアル」に至る、長く封印されてきた凄まじい証言ばかりである。ここに沖縄戦−国内唯一のゲリラ戦が浮かび上がる。そしてこれは現代への鋭い警告である。
●吉田千亜『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)
2011年3月11日の巨大地震につづく福島第一原発の爆発。「おきるはずのない」事故がおきた。著者は、これまで報道されず記録もされていなかった現地消防士たちの必死の活動(住民避難誘導、救助活動、原発内の火災・給水活動等)を1年かけて克明に取材。刻々と変化する事態を追いつつ、125名中66名から聞き取ったエピソードを組み込んだルポルタージュが胸に迫る。事実の恐ろしさ、国と東電の後手後手で杜撰な対応を告発
●「 森友問題で自殺した財務省職員の遺書の公開 」赤木雅子 相澤冬樹
森友問題での安倍首相の「私や妻がかかわっていれば首相も議員も辞める」との答弁をきっかけに、当時の財務省佐川宣寿理財局長は公文書改ざんを指示する。改ざんを強要された近畿財務局職員赤木俊夫さんは抗い、経過を克明に「遺書」として残してくれた。それは妻雅子さんの決意とジャーナリスト相澤冬樹氏によって白日の下に曝された。断罪されるべき相手は明らかだ。改ざん事件発覚後、安倍政権による国の私物化の責任はまだ誰も負っていない。
●「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に〜」 北海道放送
2019年7月の参議院選の時に札幌で自民党の応援に入った安倍首相に、ヤジを飛ばした男女や無言でプラカードを掲げようとした人たちが警官に取り囲まれて排除された。番組では当時の映像を集め、元警察官や専門家、治安維持法違反で投獄された方などに問題点を聞き多角的に検証。特に撮影された現場の警察官の対応は命令に盲目的に従って権力行使をする末端という問題点を明瞭に映像化した。ヤジすら言えない社会の先に民主主義が問われていると警鐘を鳴らす。
なおJCJ賞の贈賞式は10月10日(土) 14:00〜 エデュカス東京(東京・麹町)で行います