2020年09月13日

【今週の風考計】9.13─憲法の「非戦・平和主義」を骨抜きにしてきた7年8カ月

<最後っ屁>とはいうが、安倍首相が放ったのはイタチよりひどい。あと7日もない首相の座から「敵基地攻撃能力」の保有を促す談話を発表した。自民党内の討議も経ず、閣議決定もなし。自民党内ですら「辞めていく首相が方針を決めるのはおかしい」と、反発の声が出ている。
これまで政府は、「敵基地攻撃能力」について、憲法上は保有を認められるが、専守防衛の観点から政策判断として持たないとの立場を維持してきた。
 こうした方針を大転換させる談話で、よしみを通じるとはいえ、次期の「菅政権」に年内という期限付きで政策決定を求めるのは言語道断だ。
 「ミサイル反撃」と言うが、他国の領域を標的にする兵器の使用は、専守防衛を逸脱するのは明白なうえ、先制攻撃にもなりかねない。まさに憲法9条が死滅する。

「ミサイル反撃」への対応にしても、まず他国から発射されるミサイルを正確に予測し把握せねばならず、宇宙空間での監視が不可欠。そのため早期警戒衛星の打ち上げが必要になる。日本が独自に持つと年間850億円かかる。さらなる地対空誘導弾パトリオットの拡充も迫られる。
いま防衛省が準備している「敵基地攻撃」の一つには、北朝鮮や中国、ロシア沿岸部に到達する射程500キロの弾道ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」(ノルウェー製)がある。それを2022年3月までに購入し、航空自衛隊のF-35Aステルス戦闘機に搭載して運用する計画だ。
 これも専守防衛との整合性について議論を尽くさずに導入を決定した。
さらに敵基地のレーダーや通信などの防空網をかいくぐって攻撃するには、電子戦機やステルス戦闘機が必要になる。電子戦機もステルス戦闘機も1機100億円。その維持費や要員の訓練なども含む経費を考えれば、年5兆円の防衛予算が、さらに拡大の悪循環に陥る。

安倍政権の7年8カ月、日本の安全保障を脅かす暴挙が、どれだけ繰り返されてきたか。
 2014年4月には「積極的平和主義」の名の下、武器輸出の禁止を解除。7月には憲法解釈の変更で、集団的自衛権の行使容認を、国会での議論を経ずに、閣議決定で一方的に決定した。翌年9月には学者や国民の反対にもかかわらず、安保関連法を強行採決で成立させた。
 自衛隊が地理的な制限もなく海外に派遣される攻撃部隊と化し、米軍との一体化が加速、憲法の「平和主義」が骨抜きにされた。
その間、トランプ大統領のご機嫌を伺い、兵器の爆買いに奔った。核兵器禁止条約には背を向け、「東アジア平和共同体」構想など視野にもない。
 安倍政権の一強支配による権力行使の7年8カ月は、日本を「戦争する国」へと歩ませる道程だったといっても過言ではない。(2020/9/13)
posted by JCJ at 08:12 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする