しかし、開発されたワクチンがすべての人に効くわけではない。新型コロナウイルスの変異のスピードが恐ろしく速いからだ。ノーベル賞学者の本庶佑さんはこう警告している。
〈(新型コロナは)中国で発生して以来、世界各地に広がっていく過程で変異を繰り返し、すでに数百の変異があるという報告があります。
ワクチンが完成しても、開発当初とは異なる遺伝子のウイルスが蔓延しているかもしれない。そうなると、一部ウイルスにしか効かないことも十分にあり得ます〉(『月刊文藝春秋』8月号)
さらに副作用の問題もある。現にアストラゼネカは臨床試験で被験者に重い副作用が発生したため治験を一時中断した。その後、再開したが、ワクチン開発をめぐっては治験の簡略化で安全性が置き去りにされていると指摘する専門家は少なくない。またデング熱では、ワクチン接種がかえって重い症状を引き起こした報告もある。新型コロナで同じようなケースが起きる可能性もある。
ワクチン接種でもコロナ罹患は防げない。副作用もある。政府に騙されてはいけない。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号