2020年10月16日

【月刊マスコミ評・新聞】 安倍政治の「総括」なき新内閣=白垣詔男

 9月16日、「菅義偉新首相」が誕生した。一部で「アベノママ内閣」と言われる。実質的に首相が決まる9月14日の自民党総裁選は党大会を開かず両院議員総会で決めた。「石破氏有利な党大会は開きたくない」という安倍首相の感情論を最優先にして全国自民党員の投票の権利をないがしろにしたものだ。
 17日の朝刊各紙社説は「新内閣に望む」一色。その中で好対照だったのが西日本「まずコロナ対策に万全を」と「カネより命」に重点を置いていたのに対し読売は「経済復活へ困難な課題に挑め」と「命よりカネ」を力説していた。朝日は「安倍政治の焼き直しはご免だ」、毎日「まず強引な手法の転換を」と、いずれも「アベノママ内閣」の否定を求めた。
 社説としては自民党総裁が決まった翌15日のほうが各社の姿勢がはっきりしており読み応えがあった。
 朝日「総括なき圧勝の危うさ」、西日本「『総括なき継承』の危うさ」、毎日「継承ありきの異様な圧勝」と新総裁に対して「危うさ」「異様さ」を指摘、疑問を投げかけた。もちろん、「安倍首相の負の遺産、モリ、カケ、桜」など解明しなければならない諸問題にも言及する。
 対して「政府広報紙」の読売は「社会に安心感を取り戻したい」と、新型コロナウイルス問題に対する安倍前首相を「後手に回った」と指摘はするが、「負の遺産」は不問。「安倍首相信奉者」産経は「危機に立つ首相の自覚を 派閥にとらわれぬ人事を貫け」の見出しで、中朝脅威論を強調。両紙とも総裁が変わっても、政権に耳の痛いことは素通り。
 産経は「安倍氏をねぎらいたい」の小見出しで「憲政史上最長の在任で、身を削るようにして国の舵(かじ)取りを担った楼をねぎらいたい」と、政治的成果がほとんどなく「長いだけがレガシー(遺産)」安倍氏を最大級に持ち上げているのはいかがなものか。
 菅発言で非常に危険な内容を含んでいるのが13日のテレビ番組で「政策の方向性に反対する幹部は移動してもらう」だ。14日の毎日夕刊「近事片々」に「菅氏。政府方針に反対の官僚は異動させると強調。忖度しろよ、とでも」。菅氏が「安倍の負の遺産をそのまま継承する」と声高に叫んだものと指摘した。安倍氏以上の独裁政権になる恐れがある。
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号
 
posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする