2020年10月26日

【メディアウオッチ】 テレビ朝日労組が民放連脱退 社の意向 強く反映か 菅政権の攻勢に腰砕け=編集部

 テレビ朝日労働組合が7月25日、民放労連(日本民間放送労働組合連合会)から脱退した。テレビキー局労組の労連脱退は初めてのこと。民放労連加盟組合員は約7000人。テレ朝労組700人余が抜ける影響は小さく
ない。
 脱退の理由について同労組は@政治方針等の対立A会費の問題を挙げているが、真の理由は民放労連が加盟しているMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の文書にあるという。
 大量の派遣切り
 テレビ朝日は昨年暮れ、看板番組の「報道ステーション」を支えてきたベテランの派遣ディレクターらスタッフ10数人に対し体制の刷新≠ネどを理由に「3月末で契約を打ち切る」と一方的に通告した。
 報道によると、スタッフはテレビ朝日労組を通して派遣切り撤回を社側に求めたが、撤回要求に応じなかったため、MICに駆け込んだ。
 相談を受けたMICは2月、国会で院内集会を開き、テレビ朝日に派遣スタッフ契約終了の撤回を求める集会宣言を採択し、スポンサー企業にも送付した。
身分の不安定な派遣労働者を守るためには、当然の行動だが、これが早河洋会長ら経営陣の怒りを買い、労連脱退につながったというのだ。
 テレビ朝日労組の労連脱退には、驚きと疑問を禁じ得ない。
菅のメディア支配
 16日に発足した菅義偉新内閣は、安倍政権の「負の遺産」の一つである「メディア支配」を継承する。菅首相は、これまで以上に強面の権力主義的な手法でメディアへの介入、干渉を強めるに違いない。
 そんな時、同労組の民放労連脱退は、テレビ朝日の番組制作者が菅新政権の攻勢に事実上丸腰≠ナ立ち向かうことを余儀なくさせる。
 歯に衣着せぬコメントで視聴者の信頼を高めている「羽鳥慎一モーニングショー」や「報道ステーション」への影響が出はしないか。
権力の「共犯者」
 労働組合が弱体化すれば、職場で自由にモノが言えなくなり、放送の自由は危機に瀕する。
 新聞労連と研究者がまとめ、新聞協会加盟の新聞・通信・放送129社に送った「ジャーナリズム信頼回復のための六つの提言」には、賛同人として多くの現役の若い記者、女性記者らが実名で署名している。
 メディアは、権力との「共犯者」になってはならない。テレビ朝日労働組合の組合員と番組制作者は、労連脱退がもたらす影響などについて、改めて議論してほしい。
 編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号

posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする