2020年10月31日

【セクハラ】 杉田議員のウソ発言に非難高まる 女性を貶める偏見土壌 性被害者にさらなる暴力=吉田磨美

 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が性暴力被害者の相談事業を巡って「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言し、その後謝罪した問題で、市民から抗議の声が上がっている。10月3日には東京都内で性暴力に抗議する「フラワーデモ」の主催者らが、杉田議員に抗議する緊急のフラワーデモを開催し、13日には杉田氏に謝罪と発言の撤回、議員辞職を求めるウェブ署名約13万6000筆を提出しようと自民党本部を訪れた。
 杉田議員の問題発言は、杉田議員固有の問題ではない。2018年4月に明らかになった女性記者に対する財務次官のセクシュアルハラスメント事件後、新聞労連は新聞社内外でのセクハラや性暴力の被害者への支援活動に取り組んでいる。「女性はうそをつく」という偏見は「被害者をバッシング」する典型的手法や定説として被害者を苦しめ黙らせてきた。
 新聞労連が昨年4月の提訴段階から支援をしている「長崎市幹部による女性記者に対する性暴力事件」の損害賠償訴訟(長崎地裁)では、幹部と原告の女性記者が以前から男女関係であったかのような噂が流されたことによる二次被害も焦点の一つとして争われている。
 裁判では、女性記者による被害の訴えがうそであることを前提にした噂が市役所や市議会で流されていたとされる。訴訟で、原告は「デマを流されて、私の社会的名誉や記者としての信用は爆破されたように砕けた。病状も悪くなった」「二次被害も性暴力と一体の暴力だという自覚が全然ない」と訴えている。
  事件後女性記者は職場から離れていて、市側から直接聞き取り調査もされずにいた。それにもかかわらず、女性記者がうそをついていることを前提とした噂が広まった背景には、この種の女性の訴えに共通で吹き出してくる「女性はうそをつく」という社会的偏見がベースにあるからではないか。実は、直接利害関係のない噂の受け手側にも女性に対する嫌悪や蔑視、差別の意識があり、当たり前のようにこの手の噂が広まっていく土壌がある。
 今回の杉田議員の発言は女性を貶める、重大な問題だが、読み解くには議員の個人的資質を問題視するだけでは足りない。一人一人が自分ごととして捉え、「このような偏見を生み出す根本は何か」について考えていくことが求められている。
吉田磨美(新聞労連・中央執行委員長)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号


posted by JCJ at 01:00 | ハラスメント問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする