2020年11月24日

【スポーツ】 感染規制で厳冬のプロ=大野晃

  寒さがつのり、新型コロナウイルス感染症の急激な再拡大が懸念される中で、プロ競技界は厳しい越冬を強いられそうだ。
試合減で、無観客から観客制限のプロ野球は、収容人員の50%までの制限が来年2月まで継続され、満員の観衆は夢と消えてシーズンを終える。
 レギュラーシーズン中の総観客数の激減は明らかで、パ・リーグの発表では、昨シーズンのわずか18%にまで、急激な落ち込みが記録された。
 テレビ放映権収入などがあるにせよ、入場料が収入の柱に違いないから、昨シーズンまで上向いてきた球団経営の急降下により、そのしわ寄せが競技者の収入減に及ぶことを予想させる。
 労組日本プロ野球選手会の調査によれば、今年の支配下登録選手727人の平均年俸は4189万円で、初めて4000万円台に到達したという。
 それだけに近づく契約更改が悩ましい。サッカーJリーグは球団も多く、さらに深刻で、球団存続のために、競技者による報酬の一部返納の動きも出ている。
 大相撲でも、稽古不足による休場力士が続出し、収入減は少なくない。
プロ競技ではなくとも、プロ契約の競技者が増加しているから、競技会の中止や観客制限は競技団体の経営を圧迫し、競技者の生活に跳ね返ってきている。
 競技者たちは不自由ながらも、ファンとともに競技ができることを楽しみ、ファンを励ましてきたと自負しているようだが、競技生活の不安は限りなく大きい。
 欧州のサッカー界などでも深刻さを増しているが、各国は対応を検討しているようだ。
 ところが日本は、国が、感染対策とはいえ、規制を求めたのだから補償するのが当然だが、スポーツには対応を示していない。マスメディアもまた、プロ競技の経営や競技生活への関心は鈍い。
 スポーツ文化の担い手たちの国民生活での位置づけに、根本的な問題がありそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする