ところが桜を見る会は、首相主催の公的行事として新宿御苑で開かれ、大手メディアが取材している。(現場に行っていないのに)なぜスクープできたのかについて、JCJ大賞の受賞が決まった時、ご飯論法≠ナ有名な法政大の上西充子教授からコメントをいただきました。
「この問題を安倍政権による私物化だととらえ、報じるべきだと考えたことです。この着眼点が評価された」。問題をどう見るかという視点とか着眼点を大事にしている。これが最大の武器です。
取材で重視したのはインターネット上のブログやフェイスブックといった公開情報の活用です。
桜を見る会関連で情報公開請求しても、ほとんど情報が得られず、「どうしようか」と悩んだ記者は、ネット上で桜を見る会に参加したという書き込みに注目した。安倍後援会の年中行事だと思っているようなので、皆さん悪気がなく、「今年も行きました」と書き残している。ある山口県議は「安倍首相には長く政権を続けてもらい、桜を見る会に下関の皆さんを招いていただきたいと思い新宿御苑をあとにしました」とブログに書いていた。
これは安倍後援会旅行≠セと確信したが、安倍事務所がどう関与しているか裏付けが必要です。安倍氏の地元・山口県下関市で自民党支持者や保守の人が赤旗の取材に応じてくれたのは理由がある。地方議員や共産党支部の人たちは、時には保守の方たちと一緒に活動をしている。そういう方に紹介を受け、相手から信頼を得て真実を明らかにする勇気ある証言をもらえた。
しかし、日曜版がスクープしてもどこのメディアも追いかけてきませんでした。桜を見る会を国政の大問題に押し上げたのは、ネット上の市民の世論と、国会で野党が一緒になって追及したからです。
菅義偉首相は桜を見る会は来年から中止と幕引きを図ろうとしている。だが、桜を見る会の私物化は国政を歪めた重大問題です。私たちはこれからも権力を監視する立場で、しつこく追及を続けていく。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号