2020年12月12日

【東京五輪・パラリンピック】 IOC 五輪中止を打診か 報じない大手メディア 自らスポンサーでは=本間龍

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電通や東京五輪組織委員会内の協力者から、IOC(国際オリンピック委員会)が日本政府、組織委、電通に対し、東京五輪中止の打診をしたという驚くべき内部情報が入ったのは、10月20日だった。
IOCのバッハ会長が、予定通り菅義偉総理大臣との11月16日の会談で正式に伝達したかは分からない。仮に伝達したとしても日本政府が直ちにそれを発表するかどうかは不明だ。正式発表は来年1月頃という情報が流れている。
 その情報が入る前の9月中は、バッハ会長やコーツ副会長は、盛んに東京五輪の実施を吹聴していた。コロナがあっても五輪はやれる、というような楽観的見通しであり、それを受けて日本側の森喜朗組織委会長や菅首相も、五輪は必ずやるという発言を繰り返していた。それがなぜ急に変わったのか。

コロナ猛威で転換
それは、欧州のコロナ感染者が、10月の第2週以降から爆発的に増え始めたからだ。その増加は凄まじく、11月に入ると、主要国のほとんどで外出禁止令やロックダウンが実施された。
 第一波の感染爆発の際に優等生であったドイツも例外ではなく、コロナ対策の司令塔である保健相までもが感染した。 
IOCの本部はスイスのローザンヌにあるが、スイス国内の感染者数も爆発的に増加している。IOC幹部もコロナの猛威を目の当たりにして、認識を改めざるを得なかったに違いない。

32年再度立候補
 10月21日に私がこの情報をツイートし、YouTubeチャンネルで発表すると、予想以上の拡散を見せた。特に反応が早かったのは海外メディアで、米ブルームバーグ、米AP通信、仏ルモンド、独国営第一放送(ARD)などから相次いで取材が入った。国内では日刊ゲンダイがすぐに私に取材し、五輪中止の見通しと2032年への再度の立候補という、電通内で検討されている仰天プランもすっぱ抜いて、さらに話題を集めた。
だが、国内で沸き立ったのはゲンダイとネットメディアだけで、11月になっても大手メディア(全国紙、テレビ局)はスルーを決め込んでいる。全国紙5紙はいずれも五輪スポンサーになっており、新聞社とクロスオーナーシップで結ばれているテレビ局も、間接的に五輪翼賛側に属しているため、中止可能性を深追いしたくないのだ。

仕切る電通に忖度
 ではなぜ大手メディアはこの重要情報をスルーするのか。それは、記事にするためには私に取材しなければならず、そうなると情報元が組織委内部と電通であると書かなければならなくなるのが嫌なのだ(メディアは電通の名を極力報道したくない)。さらに、組織委の側に立ってこの情報を否定すると、もし本当に中止になった場合、取り返しがつかなくなる。
五輪推進の立場からは真っ先にガセネタとして否定したいのだが、私の情報の信憑性を崩す取材力もなく、あからさまに否定もできない。世界中のメディアがどんどん取材に来ているのに、日本国内のメディアが全く動かないのは、異様としか言いようがない。
もちろん、全国紙が中立の立場だったら、そんな心配をする必要はない。ここへ来て、スポンサーになってしまっていることが、まともな報道が出来ない重い足かせになっているのだ。
ちなみに、過去の五輪で報道機関がスポンサーになった例はない。だから今回のように、一社どころか全国紙全部がスポンサーになっているのは、極めて異常な状況なのだ。

伝える責任果たせ
 だが日本政府は、「WITHコロナ五輪」などという世迷い言をキャッチフレーズに、徹底した感染予防をすれば五輪が開催出来るようなプロパガンダを展開している。しかし、そのためには莫大な追加予算と人的資源(医療従事者)の確保が必要であり、所詮、絵に描いた餅に過ぎない。
 招致時に7千億円としていた開催費は、すでに3兆円を超えると言われ、その大半は国民の税金である。そこにさらにコロナ対策費が青天井で計上されるなど、許されるはずがない。メディアはそのことを国民に伝える責任があり、今それをしなければ、報道機関としての信頼を決定的に失うだろう。
 本間龍(著述家)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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posted by JCJ at 01:00 | 東京五輪・パラリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする