2020年12月19日

【月刊マスコミ評・出版】 第二の森友事件となるのか 首相の疑惑=荒屋敷 宏

 「週刊新潮」が飛ばしている。11月5日号で「第二の森友事件」!「菅総理」タニマチが公有地でぼろ儲け、12日号で警察も動いていた!と続報を放ち、19日号では「利権の島」に血税120億円が消えた!防衛省「馬毛島」買収に暗躍した「加藤勝信官房長官」との特集記事を掲載している。
 「第二の森友事件」というのは、横浜市保土ヶ谷区にある神奈川県警の職員宿舎の跡地が一般競争入札にかけられずに、約4億5700万円の鑑定価格が約3億8800万円へ約7000万円もの値引きで売却された疑惑だ。「保育所や学生寮の設置」を理由に民間業者に随意契約で売却され、転売されて、老人ホーム、低層マンション、ドラッグストアが立ち並ぶ一画になった。この民間業者が菅義偉首相を応援する人物だった。加藤勝信官房長官の疑惑は、訴訟が進んでおり、経過を見守りたい。
 戦前、女性は政治から排除され、歴史学者が何人も弾圧されたが、戦後もその歴史は過去になっていない。菅首相によって日本学術会議の新会員への任命を拒否された人文・社会科学系6人のうち、1人は日本近代史研究者の女性、加藤陽子氏であった。加藤氏は、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』などの著者で、内閣府公文書管理委員会委員や「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の委員を歴任している。
 「世界」12月号(岩波書店)で上野千鶴子氏や保阪正康氏は、加藤氏について「非常に穏健な方です。前天皇の信任が厚く、何度も進講に招かれています」(上野氏)、「非常に実証主義的で、右とか左という立ち位置の人ではありません」(保阪氏)と述べている。「公」の覚えめでたい女性の歴史学者を菅首相は排除したわけである。
 日本学術会議の事件が法廷にもちこまれた時、証人になれるのは、前川喜平元文部科学次官であろう。前川氏は、同じ「世界」12月号で、「菅義偉首相は官房長官時代、杉田和博官房副長官の補佐を得て、人事権を駆使することにより官僚組織を支配した」と、自らの経験をもとに証言している。2016年の文化審議会文化功労者選考分科会の委員2人を「任命拒否」した例があるという。文部科学大臣がいったん了解した案が、安倍政権を批判する言動を理由に、警察官僚の杉田官房副長官らによって覆されたのである。
 疑惑まみれの首相が人事権を振りかざし、警察官僚が暗躍する社会は、正常ではない。
 荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号

posted by JCJ at 01:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする