2021年01月10日

【今週の風考計】1.10─「果物と野菜」が2021年<国際年>テーマになる理由

★今年2021年、国連は<国際年>(International Year)のテーマとして、以下の4つを挙げ、世界の国々で取り組みを強めるよう呼びかけている。
 @平和と信頼 A持続可能な開発のための創造的な経済 B児童労働の根絶 C果物と野菜
★そもそも<国際年>とは、特定のテーマを設定し国際社会の関心を喚起し、取り組みを強めるのを目的に、国連総会で採択・決議される。1957年の<国際地球観測年>が最初だ。
 今年の4つのテーマを見ているうちに、オヤと思ったのが、C果物と野菜である。2019年12月の国連総会で採択され、2021年のテーマに加えられている。

★この64年間、<国際年>に取り上げられたテーマをネットで調べてみると、果物や野菜に関連するものは、きわめて珍しい。2004年にコメ、2008年にポテト、2016年にマメの3例しかない。
 「果物と野菜」を採択するにあたって、グテーレス国連事務総長は、食料の生産と消費との関係を再考し、食品ロスなどフードシステムを再検討し、果物や野菜など必要とする多様な栄養に誰もがアクセスできるよう、健康的で強靭で持続可能な世界にしようと強く訴えた。それほどに重要なテーマになっていたのだ。

★果物や野菜は、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルが豊富で、人体に豊富な栄養素を提供し、免疫システムを強化し、さまざまな病気のリスクを減らすのに役立つ。
 世界保健機関(WHO)は、健康を維持するうえで食事の一部に果物・野菜を1日1人400グラム以上摂るよう促している。世界の貧困地域では半分にも満たない。わが日本でも一人当たり摂取量は1日約280グラム、120グラムも不足している。
 さらに生産された果物と野菜が消費されるまでの間に、途上国からの輸入や国内での流通分も含め、食べ残しや消費期限などから廃棄されるロスは最大40%にのぼるといわれ、大きな課題となっている。

★いまコロナ感染拡大の影響で、自宅での料理づくりが増えている。巣ごもりの身には、食卓に並ぶ毎日の料理が楽しみだ。野菜炒めを食べイチゴやキウイを味わいながら、ふと年末に短時間審議で可決された「種苗法」に想いが及ぶ。
 俳優の柴咲コウさんがツイッターで日本の農家・農業の将来に触れ、懸念を表明していたが、農家の自家採種・増殖の権利が制限され、公共の種子すら種苗会社に譲渡されたらどうなるか。海外のメジャーが果物や野菜の種苗を支配することになれば、遺伝子組み換えなど、食の安全さえ脅かされ、まさに「果物と野菜」<国際年>を侵害する事態が進むのは明らかだ。(2021/1/10)
posted by JCJ at 08:13 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする