2021年01月23日

【映画の鏡】『あこがれの空の下』 教育の原点を示す 教科書のない小学校の1年生=鈴木賀津彦

教育とは誰のためにあるのか、その原点がみごとに伝わってくるドキュメンタリーだ。東京都世田谷区の私立和光小学校と言えば、子どもの自主性を重んじた

ユニークな教育で知られているが、映像がここまで密着して学校のリアルを捉えてくれたことで、これからの教育の「モデル」を示していると強く感じた。
「教科書のない小学校の一年」というサブタイトルのように、教材は日々の子どもたちの学びに合わせ、教員の手作り。教員らが職員室で議論を重ね、理解度を考慮した授業の進行を工夫する。「研究授業」では、お互いの教え方を丁寧に見て批判し合う。なるほど、教員同士が対話的でなければ、子どもたちも対話的な学校生活は過ごせないだろうことにも気付かせてくれる。

大切にするのは、子どもたちから発せられる「はてな=?」。間違えてもいい、恥ずかしがらずに言える疑問から、子ども同士で考えをぶつけ合い、教え合う対話の日常の学校生活が印象的だ。
卒業生の作曲家三枝成彰さんがコメントを寄せている。「父が学校に申し入れた条件はただひとつ。『毎朝ピアノの練習をさせるので、1時間めの出席は免除していただきたい』。それを学校は受け入れてくれた。この話を人にすると驚かれるが、和光はそういう学校なのだ。つまらない型にはまった、当たり前の勉強なんかしなくていい。好きなことを見つけて、とことん突きつめればいい―」と。

文科省が「主体的、対話的、深い学び」を掲げ教育改革がスタートした今年。そのモデルがここにある。渋谷・ユーロスペースで1月8日まで上映。
鈴木賀津彦
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

posted by JCJ at 02:00 | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする