◆核兵器と気候変動による人類滅亡を午前0時に見立て、それまでの残り時間を示す「終末時計」の針が、昨年に引き続き、残り「100秒」を表示したと、米国の科学雑誌が発表した。
世界で1億人がコロナに感染しパンデミックに陥るなか、核廃絶と気候変動という地球規模の課題に、いまだに国際社会が協調して対処できていない事態は、深刻だと指摘している。
◆まず核廃絶。22日に発効した核兵器禁止条約は、その後ベナン、カンボジアも批准し計52カ国となった。インドネシアやブラジルも批准に向け手続きが進んでいる。
だが唯一の被爆国・日本が、米国の「核の傘」を理由に批准しないどころか、オブザーバー参加できる締約国会議にもソッポを向くとは、悲しくて悲しくて言葉も出ない。
◆米国ではバイデン大統領が、オバマ元大統領の掲げた「核なき世界」を継承するため、2月5日に期限を迎える米ロの新戦略兵器削減条約(新START)を、5年間延長することで合意した。
これにより、2019年8月の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効して以降、唯一残されていた核軍縮の枠組みが維持されることになった。
◆気候変動の課題はどうか。すでにバイデン大統領は就任初日、地球温暖化に対処する「パリ協定」への復帰に署名し、2030年までのCO2削減目標の新たな策定に着手した。
さもあろう。南極の巨大な氷山が次々に分裂している。三重県の面積にも相当する世界最大級の氷山が割れて、サウスジョージア島に向かって流れだし危機感が増す。
地球から消えた氷の量は、この20年間で28兆トン。かつ融解の速度は加速し、年に1.3兆トンという。
今後も地球温暖化が進み、氷山が解け、海面上昇が続けば、東京は水の都ベネチアになるとの予測すら出ている。
◆今年は、世界各国が気候変動への取り組みが問われる重要な年。11月には英国で国連気候サミットが開かれ、重要な対策プランの討議が始まる。
世界50カ国120万人を対象に行った国連の世論調査によると、回答者の8割近くが気候変動を「地球規模の緊急事態」と捉えている。
◆国籍・性別問わず、老いも若きも、全世界の人々が再生可能エネルギーの活用増大、森林と土地の保全、気候に優しい農業技術の採用、クリーンな電気自動車やバス・自転車の利用拡大など、具体的なテーマを挙げて気候変動に対する取り組みを求めている。
同感、当然! CO2排出による気候変動・地球温暖化は、「終末時計」の針を加速させる元凶なのだから。(2021/1/31)