朝鮮労働党第8回大会が1月5日から12日まで開催された。5年前の第7回党大会の日程が4日間だったのに比べて、今回は2倍の8日間。それだけ、北朝鮮指導部が現状を深刻に考えていたことを裏づけている。
党大会では、金正恩氏が朝鮮労働党総書記に推戴された。妹の金与正氏は党中央委員会政治局委員候補から外れたことや党第一副部長から副部長になったことで降格したとの分析もあるが、必ずしもそうとは限らない。これまでの地位を守っていると見る向きもある。党の地位とは関係なく、金総書記を影でささえる存在であることは間違いないからだ。
金正恩氏が党委員長から総書記になったことをどう見るべきか。もちろん、委員長であろうが総書記であろうが、金正恩氏が「最高尊厳」であることに変わりはない。朝鮮労働党総書記選挙に関する決定書によると、党総書記は「全党を代表し指導する党の首班」であり、「党の首班は全党の組織的意思を体現する革命の最高脳髄であり指導の中心、団結の中心」だという。これは祖父の故金日成主席や父の故金正日総書記と同等の地位に就いたことを内外に示す意図もあるのではないかと思われる。金正恩総書記による唯一指導体制はより強固なものになっていくことが予想される。
「対外政治活動を、わが革命発展の基本的障害物、最大の主敵であるアメリカを制圧し、屈服させることに焦点を定める」「アメリカで誰が政権を握ろうと、アメリカという実体と対朝鮮政策の本心は絶対に変わらない」
金総書記は、大会報告のなかでこう強調し、バイデン次期政権を牽制した。核戦力強化に何度も言及しており、今後ミサイル実験などを行う可能性もある。一方で、中国の習近平国家主席から送られた祝電への礼電をメディアで速やかに公開するなど、中朝の蜜月をアピールすることに余念がない。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号