2021年02月13日

【月刊マスコミ評・新聞】 年頭紙面はコロナより中国の脅威=徳山喜雄

  元旦の各紙の1面トップをみるのが、年頭の楽しみだ。通常は特ダネ・独自ダネか、大型連載があてられる。在京6紙をみれば、朝日、読売が特ダネ、東京が独自ダネ、毎日、産経、日経が連載を据えた。きれいに分かれたかたちだ。
 朝日は、自民党衆院議員だった吉川貴盛・元農林水産相が鶏卵業者から500万円を受領した疑いがある事件で、大臣在任前後にさらに1300万円を受け取っていたとした。鶏卵生産・販売大手の前代表が東京地検特捜部の任意聴取で供述、特捜部は収賄容疑で立件する方向という、本筋の特ダネだ。
 読売は、海外から優秀な研究者を集める中国のプロジェクトについて「中国『千人計画』に日本人」という主見出しを取り、少なくとも44人の日本人が関与していることが、独自取材で分かったとした。1社面に受け記事を掲載、「人材流失を防ぐための対策が求められている」と訴えた。
 東京は、作家・加賀乙彦さんの父親が戦前の東京などの街や人々を8_・16_フィルムで記録した映像を入手。現存する宝塚歌劇団のもっとも古いカラー映像や空襲前の新宿駅前を撮ったものなどをデジタル化したという自社ものだ。やや弱い内容だが、東京ローカル紙として「戦前の東京」を蘇らせたという映像の紹介は、これもありかと思った。
 毎日は連載記事であるものの、中国で製造された新型コロナウイルスの「闇」ワクチンが日本国内に持ち込まれ、大手企業の経営者ら富裕層が接種しているというショッキングな内容だ。産経も中国に関係するもので、中国型の権威主義が南太平洋で猛威をふるっているとした。日経は、温暖化ガスの排出を実質ゼロにする日本のカーボンゼロ宣言をテーマに、連載をスタートさせた。
 読売と毎日、産経の3紙が、中国がらみの記事をトップに。コロナ禍よりも中国の脅威が新年早々から伝わってきた。
 社説はどの新聞もコロナ禍に言及。毎日は「民主政治は間違える。けれども、自分たちで修正できるのも民主政治のメリットだ。手間はかかっても、その難しさを乗り越えていく1年としたい」。日経は「……世界のあちこちで分断やきしみが目立った。……『再起動』の年にしたい」と、前向きに訴えた。 
徳山喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする