2021年02月14日

【今週の風考計】2.14─日本版「マグニツキー法」が必要となる理由

いまや世界のコロナ感染者は1億820万人、死者は237万人に上る。というのに人権弾圧や専制政治が世界各地で横行し、ワクチン争奪が起き、ワクチン外交・世界支配の醜い野望すら蠢いている。
 なかでも中国の動きは、奇怪きわまりない。習近平政権はアジアやアフリカの発展途上国を中心とした計52カ国・地域を対象に、コロナ・ワクチンを無償提供し、その引き換えに中国への批判を封じ込める戦略を描いている。

12日、中国政府は、英国BBCの国際放送を禁止する処分に出た。BBCが新疆ウイグル自治区の「再教育」施設で、ウイグル族の女性が拘束され、性的暴行や虐待・拷問を受けていたとの報道への対抗措置とみられる。
 新疆ウイグル自治区の収容施設では、ウイグル族などの少数民族100万人以上が拘束されているという。中国は否定に躍起になっているが、米国バイデン政権は厳しい姿勢を取り、国際世論からは「ジェノサイド」の疑いまで指摘されている。
 東京新聞<本音のコラム>で、師岡カリーマさんが「ウイグル強制収容所」と題して、鋭い指摘をしている(2/13付)。

また中国政府の意向を受けた香港政府の動きも過酷さが増している。この6日には、立法会(議会)の元議員ら民主派53人および米国人弁護士を、「国家政権転覆罪」容疑で一斉に逮捕した。
 今年9月の選挙に向けた準備が、なぜ「国家転覆の企て」に当たるのか、異論や異議を許さない、民主派つぶしの暴挙は断じて許されない。
 この事態は、香港人にとどまるものではない。香港では日本人を含め世界の人々の「自由と人権」が脅かされかねないのだ。世界中の人々が中国政府に、香港の自治と人権を尊重するよう、粘り強く働きかける責任がある。

さらに中国は海警局に武器使用を認める「海警法」を施行した。さっそく海警局が活動する領域を一方的に拡大し、とりわけ尖閣諸島周辺の領海に侵入し、日本漁船に接近するなど、国連海洋法条約を無視し、国際法に違反する事態が頻発している。
 日本政府は、毅然として中国の国際法違反を指摘し、尖閣諸島周辺への威嚇侵入に抗議、すぐ止めるよう申し入れるべきだ。
やっと日本でも、世界各地での言論弾圧や拷問、虐殺などの人権侵害に関わった個人や団体に対して、制裁を求める日本版「マグニツキー法」の検討が始まった。
 議員立法をめざし、近く超党派の国会議員連盟が発足する。G7(主要7カ国)でマグニツキー法がないのは日本だけ。隣国への配慮ばかりが優先し、大事な人権や国際法が踏みにじられて、良いわけがない。(2021/2/14)
posted by JCJ at 08:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする